表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
46/95

第四十五話 ファグとベラ

「あらあら、まあ。ベラ様に戦いを挑むだなんて、私たちのように強いわけでもなさそうですのに、無謀だこと……」

私たちの船の甲板からアクアという少女を見下ろしながらほくそ笑んだ。

大方、自分が一番強いと思い上がっているのでしょう。若気の至りですわね。

「若いっていいですわねぇ」

わざと聞こえるボリュームで言うと、アクアさんがキッと睨み上げてきた。

「怖くありませんわよ」

ホホホと笑ってやると、アクアさんは頬を膨らませてプイっと顔を逸らした。

ほんとかわいらしいこと。子供はこれくらい素直で感情豊かなほうがかわいらしいというのに、ベラ様ときたら、先ほどから被っておられるフードのせいで表情が全く見えません。きっとまたあの枯木寒巌なお顔でため息の一つでも吐かれるのでしょう。

そう思った矢先、ベラ様が深いため息をされました。

「ファグ、アクアをからかうな。こう見えてコイツ家出娘だぞ。ガラスのように繊細なハートしてるんだろう」

ベラ様が私を見上げてニヤリと笑われました。

私は目を見開いてまぁ、と吐息を漏らした。長年世話役として仕えてきたのに、私は一度もベラ様が笑われるのを見たことがない。笑うことも、泣くことも、一切の感情を捨て、あの暗く冷たい牢獄で死んだような目をされていたベラ様が! 一体何があったのでしょうか?

「おーい! 姉ーさーん」

頭上からフラッシュの声がしたかと思うと、目の前に何かが落ちてきた。痛いですよ! と抗議の声を上げたのは、ベラ様のお連れの片割れの少年だった。

この子とアクアさん……少し調べてみましょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ