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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第四十三話 勝負がしてみたい!

ベラさんの後を追っていくと海岸線に何やら大きな船が停まっているのが見えてきた。ベラさんはその船の甲板に降りていった。

「アルさん! ベラさんたち、あの船の甲板に降りました。急ぎましょう!」

振り返って言うと、だいぶ後ろのほうのアルさんが何か言った。

「なんですか? 遠すぎて聞こえません!」

仕方なく足を止めてアルさんが来るのを待つ。こうしている間にも魔女たちがベラさんに何かするかもしれないと思うと不安でたまらない。ベラさんは強いし、あの魔女たちとも面識があるみたいだけど……

霧の魔女と緑髪の女の子の笑い声が頭に響いて身震いした。

「アルさん早く! 置いていきますよ!」

アルさんはもう結構近づいていたから、私はまた船に向かって走り出す。

「ま、待ってー!」

後ろからアルさんの悲鳴に似た涙声が聞こえてきたけど、聞こえないふりをする。

私はなんでこんなに不安なんだろう? 島を飛び出したときは希望で満ち溢れていた。いつも一人でも、格闘大会で力試ししたときも、不安なんてなかった。自分が一番強いと思っていたから。事実、この島に来るまで誰かに負けたことなんてなかった。島で一番強かったんだから、きっと世界一になれると信じて疑わなかった。なのに一番強かったのは……

海岸に着いて船を見上げると、思いの外大きかった。船首にベラさんが座っている。逆光で顔は見えないけれど、あの冷たい目で私を見下ろしている。

「どうした。息が切れてるぞ」

ベラさんが羽を広げて降りてくる。魔女みたいな真っ黒なマントが風にはためいてバタバタと音を立てた。目の前に降りてきても、きっちりと目深に被ったフードにあの怖い目は隠されていて見えない。

「ベラさん、私なんだか……」

ベラさんと勝負がしてみたい!


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