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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
旅立ち
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第三話 闇夜の訪問者

私はイライラしながら目の前のマカロニをフォークで刺した。大好きなグラタンを食べながらも、ちっともおいしいと感じない。それがまた、不快で不快でたまらない。

パンを買って来いと命じたアルは夕食の時間を過ぎても戻らず、不機嫌な私に怯えるメイドたちの目がなおさら不愉快だ。大急ぎでグラタンを作ったのも、私の機嫌を取るためだと思うと腹立たしい。その上、アル以外が作ったグラタンはなんともまずい。それがさらに私の機嫌を損ねた。

半分ほど食べたところで、もういらない、と席を立つ。早くお風呂に入って寝てしまおう。そう決めた。なのに……

「あ、人間見っけ」

私の進行を邪魔するかのように大男が廊下に立っていた。何かが私の中ではじけ、私は大声で怒鳴りつけた。

「あなた! 一体誰ですの? 私の屋敷に勝手に入り込んだ挙句、私の進む道を塞ぎましたわね。どういうおつもり? あなた、一体何様のつもりですこと!?」

大男は私の言葉を無視して、ゆっくりと辺りを見回した。そして、大きくため息を吐く。

「なんだつまんねー。殺していいのはたったこれだけかよ」

そう言うなり、大男は持っていた斧を振り下ろした。かろうじて避けたけれど床に大穴が開く。メイドたちの悲鳴が響き渡った。

「あ、あなた。私が誰かわかっていてこのようなことをしているの? わ、私は、この島で一番偉いのですよ! 一体何様のつもりなんですの!?」

私はすっかり腰が抜けてその場に座り込んだ。みっともなく叫び続けるしかない。大男はまたも斧を振り上げて言った。

「あ? 魔物様だよ」

私よりも大きな斧が振り下ろされる。私は目の前に迫るそれを凝視することしかできなかった。


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