表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
35/95

第三十四話 まだ帰らない

僕は落ちてくる岩を必死に避けて近くの家の中に避難した。大きな音か、いきなり現れた僕に驚いたのか、リビングにいた女の人は唖然としていた。その足元にはお皿が数枚割れて落ちている。僕はすいませんと軽く会釈した。そして、砂煙が収まったのを確認して窓からそっと外を見た。ベラが赤い髪をなびかせてあたりをキョロキョロと見まわしている。その足元には丁寧に正座したアクアと、アクアに下敷きにされた能面の人がいた。その横には同じように伸びている女の人と、無邪気に笑う女の子もいる。女の子は上から落ちてきたわけではないのか、いたって元気に女の人の頭を叩いている。起こそうとしているのかもしれないけれと、僕は心の中で痛そう……と呟いた。

「おーい、アル? いないのかー?」

ベラが僕を呼んでいる。全然必死に探している風に聞こえないその声音に僕は少し肩を落として、ここにいるよと小さな声で答えた。ベラが僕を見つけて少しだけ口元を緩ませる。次いで僕を見つけたアクアが家の中に入ってくる。

「アルさん! 無事でしたか? 早くこんな島出ましょう。ここは危険です。この人たちは魔女だったんですよ! あの女の子も魔力を蓄えるとかわけのわからないことしてますし!」

アクアはまくしたてながら僕の腕を引っ張った。

「いたたた、痛い痛い!」

「あ、ごめんなさい」

アクアはハッとして手を放した。広場で、能面の人に腰かけたベラと女の子が何か話している。近くまで来てやっとその声が聞こえた。

「……いいや、まだ帰らねぇよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ