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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第三十三話 紅い天使

いくら助けてと願ってもベラは来てくれない。僕がこんな目にあってるなんて彼女が知るはずもないから、当然と言えば当然だけれど……。

なぜだか少し寂しく思った。

「笑え、少年」

「……い、いやだ!」

僕は能面の人を突き飛ばして駆け出した。ほとんど同じ景色の路地を右に左に曲がり逃げる。何度目かの角を曲がってそっと後ろを見てみた。真後ろにも、曲がり角の向こうにもあの人の姿は見えない。僕はホッと息を吐いた。そして、ここはどこだろうと周りを見回して息を飲んだ。

そこは元いた広場だった。少し離れたベンチに能面の人が座っている。僕はすぐに回れ右をした。

「追いかけっこは嫌いなんだよ」

すぐ後ろで声がして、手首を強く掴まれる。僕は悲鳴を上げて暴れた。能面の人が何かを言った気がしたがそんなの関係ない。ただひたすらに、この人から逃げることだけを考えていた。

その時、いきなり大きな音がして天井が崩れた。広場にいた人も全員天井を仰ぐ。

崩れ落ちてくる岩と砂煙の隙間で、紅い天使が舞っていた。

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