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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第三十一話 飴玉

銀色のナイフが光って、振り下ろされたそれは腕の隙間から心臓に突き刺さり、真っ赤な血がどばーっと……なんてグロテスクな展開にはならなかった。なかなか来ない刺激に恐る恐る目を開けると、あの女の子が魔女の腕に絡みついていた。目の前でナイフの刃先がきらりと光って、私は悲鳴を上げながら飛び退く。今すぐ逃げたいのに、腰が抜けて立ち上がれない。女の子は駄々を捏ねる様に魔女の腕を揺さぶった。

「ちょっとウェンディ、邪魔しちゃだめよ」

「やだやだー! お姉ちゃんちょうだいよー。今! 今欲しいのー!」

「もう、しょうがないなぁ。フラッシュには内緒よ? 本当はもっと間隔を開けないといけないんだからね」

「わーい! ファグお姉ちゃん大好きー」

今なら逃げられる。

魔女が女の子に気を取られている内にそっと後ずさりをした。

「ほら口開けて。はい、あーん」

「あーーーん」

女の子はいかにも甘そうなピンク色の飴を頬張った。満面の笑みでほっぺを押さえている。魔女は女の子の頭を撫でながら優しく笑う。

「もっと強くなるのよ。もっともっと魔力を蓄えて、大きくなるのよ」

その言葉に私の背筋は凍り付いた。


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