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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第二十六話 だぁれ?

じゃあな、と手を振ってベラさんは飛び去った。私ははぁとため息をつく。視界の端でのびている魔女を見たら、もう一つため息がこぼれた。自分の無力さが悔しい。

「……とりあえずこのままでも大丈夫?」

誰に確認するでもなく呟いた。

「アルさんどこだろ。この角を曲がったはずだけど……」

アルさんが曲がったはずの角を曲がってみても、薄暗い道が続くだけで、先は闇に呑まれて分からない。とりあえず進んでみることにした。

三十分くらい歩いて、私は長いため息をついた。あっちの角を曲がってみたりこっちの角をまがってみたり、行き止まりもかなりあったが、結局どこにもたどり着けなかった。道の真ん中にペタンと座り込んだ。ボーっと空を仰ぐ。どんよりと重い雲が余計に私の気持ちを沈ませる。何度目かのため息が出た。

「アルさんどこ?」

なんて弱弱しい声よと自分にぼやく。

何が人魚族。何が世界最強の戦闘民族だ。私はこんなに弱いじゃないか。

次第に頭が垂れる。ポタリと涙が落ちた。茶色いレンガの道に黒い跡を作っていく。

「あーもう! 私ってば情けない!」

涙を拭って、渇を入れる様に頬を叩いた。スクッと立ち上がり顔を上げる。

「ウジウジなんてしてらんないよ私! アルさんを助けないと!」

自分に言い聞かせるようにわざと大きな声で言った。当てもなく歩き出す。

「ねぇ、あなただぁれ?」

突然後ろから聞こえた声に、私は思わず悲鳴を上げた。

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