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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第十七話 “蜃気楼”

振り返えると、目の前にベラがいた。

「な、なぜだ! 確実に撃ち落としたはず!」

「フンッ! 言っただろう? ボクはオメェなんかに捕まったりはしない」

風が吹いて、ベラの赤い髪が揺れた。俺は剣でその体を貫いた。雷が効かなくても、物理攻撃なら効くだろう。だが、手応えがない。俺は目を見開いた。ベラの姿が、陽炎の様にゆらゆらと揺らめく。ゆらめいた顔で、ベラがニヤリと笑った。

「“蜃気楼(ミラッジョ)”」

「馬鹿な! こんな至近距離で蜃気楼だと!?」

「蜃気楼とは……」

揺らめいていたベラは完全に消え、代わりに頭上で声がする。見上げると、そこにベラがいた。真っ白な羽を羽ばたかせて飛んでいる。

「激しい気温差で生まれる幻。ボクの魔力を持ってすれば、気温差を作るなんてカンタンだ」

 俺は黙ったまま、剣を突き上げた。剣先からベラに向かって雷が飛んでいく。その雷は、確実にベラの脳天を貫いた。しかし、そのベラの姿もまた揺らめいて消える。

「オメェなんかに、ボクを捕まえることはできないさ」

真後ろで声がする。振り向きながら剣を振るった。また消える。もう声は聞こえなくなった。空にも地上にも奴の姿は見えない。

「チッ! また逃げられたか。まさかあんな手が残っていたとは……これは、俺の方も作戦を練って挑まねぇと、そうやすやすとは捕まえられねぇな」

風が吹いて、赤い髪が揺れた。


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