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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第十六話 “雷柱”

ベラが空を飛び回って、俺が闇雲に放つ雷を避けている。狙って放てば一発で仕留められるだろうが、集中している間に逃げられてしまう。今一番重要なのは、奴をこの場から逃がさないことだ。

「いい加減諦めて捕まったらどうだ!」

「冗談じゃないね。ボクは捕まる訳にはいかないんだよ! オメェが殺した彼のためにも……」

「俺が殺した? 思い当たる奴が多すぎて分かんねぇな」

俺は微笑を浮かべた。ベラは今、会話に夢中になってあまり動いていない。今なら狙って撃ち落とせる。俺はわざとベラを挑発した。

「戦争で死んだ奴か? あんときゃあいっぱい殺したからなぁ。一体誰のことだかさっぱりだな」

「彼は彼だ。村の人たちのことだってボクは忘れない。みんなボクの大切な人だったのに!」

「大切……? フッ、バカバカしい。いい加減学べ。てめぇと関わった奴は、例え会話をしただけだったとしても殺すに値する。てめぇは存在してちゃいけねぇんだよ!」

「うるさい! 関係ないだろ!」

ベラが身を固め、力いっぱい叫んだ。もう十分だ。今の会話の間に狙いは定まった。もう逃がさないぞ、ベラ。

「これで終わりだベラ! “雷柱(トールボルタ)”」

太い柱状の雷がベラを貫く。ベラはこれぐらいじゃ死にやしないだろうが、体が痺れてしばらくは動けないだろう。俺は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「楽しそうだね」

背後から聞こえた声に、俺の笑みは引き攣ったものに変わった。


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