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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第十一話 雲影

ボクらは長い間黙っていたが、ふと、アルが思い出したかのように言った。

「アクアさん、この船はどこに向かっているんですか?」

「さあ?」

アクアはオールを漕ぎながら、笑顔でしれっと言った。アルは驚くのも疲れたのか、大きなため息をするだけだった。初めて海に出たと大はしゃぎしていたアルも、どこまでも変わらない海の景色に飽きたのか、今はボーっとした顔で空を見上げている。ボクも同じように空を見た。姿を次々に変えながら、真っ白な雲がゆっくりと流れていく。聞こえるのは、小さな波の音とオールを漕ぐ音だけ。時間が静かに流れていく。

不意に分厚い雲が空を覆ってしまい、一気に辺りが暗くなった。アルがギュッとボクのマントをつかむ。急にオールを漕ぐ音が聞こえなくなり、ボクは目だけでアクアを見た。アクアはオールから手を離してボクを指さしていた。

「すっごく今更ですけど、お二人の来ている服、ずいぶんと変わってますね」

ボクはしがみついて離れないアルを見た。アルは、いかにも使用人のような服を着ている。ボクは、下にちゃんとした服を着ているものの、マントで隠しているから、アルと変わらないくらい変だろう。マントを少しめくって、その赤い服を見せた。

「島に着いたら、アルの服を買おう」

ボクはそう言った。辺りはまだ、夜のように暗い。


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