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平成のタスクフォース  作者: 月宵/氷渚
第一章/TaskForce
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デンジャークロス

タスクフォースの各員の大雑把な紹介が終わった後、俺は射撃場に呼ばれた。

結城曰く、「貴方に最も適正な武器を調べるため」だということらしい。

はっきりと言ってしまうと銃はモデルガンも扱ったこともないため全くもって分からない。

その状態で適正訓練と言われても正直悲惨な結果になるに違いないだろう。いや確実だ。

などと自分を信じない言葉ばかりを頭の中に並べてる内に、

アリスに教えてもらった右奥の通路の突き当りに着く。

「訓練所」と無造作に書かれた以外に可愛らしいフォントで書かれた札が刺さっている。

俺は躊躇なくその扉を開ける。扉を開けた先もやはり俺の予想した訓練場が広がっていた。

訓練施設に入ると同時に、俺が入ってきた扉の横から突然声が掛けられた。


「いらっしゃい零斗。唐突ですまないけれど、今から適正訓練を始めます。

 そこのデスクに並んでいる奴から好きなものから取って」


驚きで後方を振り向くと、迷彩服に身を包んだ結城が壁にもたれていた。

結城に指示されたままにデスクの上にある多数の銃器に目をやる。

正直言って、見たことはあるのだが生憎その名称が分からない。とりあえず分かるのは、

ハンドガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーがあるということだけだ。

悩んだ俺は、マイナーなハンドガンから始めることにしてそれを手に取る。

すると、それをずっと観察していた結城が不意に口を開く。


「それはドイツが製造しているMk.23 SOCOMよ。45口径の大型の自動拳銃で、

 装弾数は12発。重さは1.2kgってところね。持ちにくいでしょう?」


結城の説明通り、大型の自動拳銃であるこの銃は男の俺が持っても若干握り辛い。

重さはそれほどないのだがやはり握りにくいのが少し気に入らなかった。

だが取ってしまったものは仕方がないのでそのままアップした的に照準を合わせる。

出来るだけ的の中心を撃ち抜けるように狙いをつけて引き金を引いた。

ニュースの中継でガス爆発が起こったときに似た轟音と共に鉛の弾丸が直線に飛んでいき

狙った通り的の中心を氷の無情で貫く。

初めて銃を撃った。その感覚が体の神経の隅々まで伝達され、緊張する。


「狙い方はまぁまぁね。でも遅いわ。戦場ならそんなにしているうちに殺される。

 でも正直中心を狙えたのには驚いたわ。じゃぁ次を取って」


言われたとおりに初めて撃った銃をデスクに戻し、次の銃を決める。

今度はハンドガンとは違い、数十発の連射が出来るアサルトライフルを選んだ。


「それはアメリカが製造しているM4カービンよ。装弾数は30発でおよそ2.7kg。

 大体一般人でも割と認知率が高いアサルトライフルの一つよ。

よくゲームなんかでは初期装備にこれが使われていたりするわ」


これはよく知っている。散々友達に「コールオブデューティー」というFPSゲームで

暴れているところを見せられた。このゲームは特殊部隊のメンバーの視点となって

世界のテロリスト達と戦争を繰り広げるゲームだ。正直興味はあまりなかったが。

説明された今となっては覚えておけばよかったと自分でも思っている。

正直俺は性格上、自分に関係のないことに対してはあまり記憶力が良くない。

今度はハンドガンの時とは違って複数のターゲットがアップする。

先程の結城の助言をヒントに今度は少し狙いを甘くしてフルオートで狙う。

連射の衝撃で肩を若干痛めたが、とりあえず的は全て撃ち落とした。


「さっきの事を反映出来ているわね。上出来よ。唯やっぱり全部撃ってしまうと、

 ズレが生じて集弾性が低くなるのよ。だから指切りをしなくてはならないの。

 指切りについては今度教えるわ。じゃぁ次を」


その後も結城の指示もと俺が自由に選んで、スナイパー、サブマシンガンの順に

適性テストを行った。初めての俺でも結城の説明のおかげで大体の初期知識は

備わったと思う。だが結城の訓練はまだ終わっていなかった。


「じゃぁ最後にデザートイーグルを使ってもらうわ。そこのケースに入っているから」


まだあるのか。と内心悪態を付いたが、ここで怠ける訳にもいかないので

結城の指示通り近くにあった防弾ケースらしき物から若干大きいハンドガンを取り出す。

最初に握ったMkなんたらというハンドガンよりかは重かった。

ターゲットがアップしたのですかさずそれを両手で構えて撃つ。

するとどうだろう。尋常な無い衝撃が腕から全身に伝わっていく。

その衝撃に思わず銃が手から離れてしまう。

気付いた時には既に銃口は俺の足に落下しており、

高熱の鉄が俺の足に直撃したも同然だった。そして不覚にも俺は意識を失った。


目覚めると、白い天井が俺の視野を覆っていた。正しくは、異常に白い天井だ。

起き上がると、足に無駄に大きな包帯が巻かれていることに気付いた。


「結城……やりやがったな……」


そう毒づいていると、人の顔が俺の視界を横切った。

起き上がってみると先程は見なかった男子が室内をうろついていた。

やがて彼は俺に気付き、こう告げた。


「あぁ、やっぱり君もやったのか。結城さんが言ってたよ」


「んな……誰にそれ聞いた!」


「結城さん」


最悪だ。アリスの言っていた厳しいとはこのことだったのか。

新しく入る新兵を若干褒めて調子に乗ったところをアレで落ち込ませる。

だがまぁある意味当然ではある。腑抜けた状態で戦闘を行っても死人が出るだけ。

恐らく結城はその事を誰よりも知っているのではないか。そう思える。

そうなれば筋はきちんと通っている事になる。あのトラップは当然ではないが。

俺に恥ずかしい現実を突き付けた男子はそんな俺に構わず話し続ける。


「俺は一宮麓路だ。よろしくな零斗」


こんな能天気な奴と過ごすのかと思うと、不意にめまいがしてまた俺は倒れた。


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