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奇話百厭  作者: 水崎
9/9

9.ママトーク


 うんうん、分かる。分かるよぉ。試合場所に送ってくのって大変。見知らぬとこもよくあるからさ。

 この間あたしも馬鹿息子を試合場所まで送ってったんだけど……あ、サッカーの試合。なんか名前も忘れちゃったけどだいぶ田舎の学校だったの、相手が。向こうで試合だったんだけど、遅刻ギリギリだったのに迷っちゃってさ。ほら、あっちの方の……うん、そんな感じの名前だった。わかるよねぇ、あの道分かりにくすぎるよね!

 それで、そうそう、その道逆に行っちゃったのよね。ほんとに酷い道よ~。途中からどんどん道幅狭くなるし地面もがったがた。息子とぎゃあぎゃあ言いながら運転してたのよね。そしたらさぁ、ちっさいトンネルにたどり着いたのよ。車高の低い車がギリギリ通れるくらいのちっさなトンネルだったの。もう明らかに道間違えてるじゃない? またぎゃあぎゃあってなるのよ私も。バックで戻るしかいのよ、Uターンもできないちっさな道だったからね。

 もう信じらんないのよ。行き止まりくらい表示してくれたらいいのにさ。なんか足下で何かに触られてるみたいな感じになるし。バックしながら、がさがさかさって。ふくらはぎを撫でるような感じ。なんだか知らないけど、どうしようもないでしょ? それどころじゃないし。構ってられなかったのよ。最初は我慢してたけどしつこかったのよ~。もぉ、なんなのぉぉって叫んじゃったから、息子にびっくりされちゃったわ。うお、どうしたっ、て。

 まあ、結局試合にはほんとにギリギリ間に合ったんだけど。車に手形がさ……え、足下のどうしたかって? うーん、そうね。道戻ったらもうなかったかな。だいぶ急いでたから、あんまり覚えてない。あ、何の話だったっけ。ああ、そう。試合場所に着いたのはいいけど、車にびっしり手形がついてたのよ。気味悪いでしょー。ちょうど運転席と助手席の足下くらいの位置が一番酷かったかな。ぜーんぶ子どもの手形。こんなことあるんだなーって思った。

 うーん、どの道だったかな。忘れちゃったや。きっとあのトンネルで何かあったのね。まあ、試合に間に合ったんだから、もうどうでもよかったけれど。



【終】

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