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ダンボール・ロック・グダグダ

雪幸side


沢木雪幸はコンビニへ向かって歩いていた 。

目の前に公園が見えて、公園を挟んでその先にコンビニが見える。

…よし、ショートカットだ!


…寂しげな公園だな…。とか思ったけど、途中でどうでも良くなる。


そして雪幸はsmoke on the waterのあの有名な部分を鼻歌で歌いながら公園を通る。

すねてる従姉妹を宥めるためにわざわざコンビニにむかってるとは思えない上機嫌なキーだった。

コンビニに入った雪幸はアキへのお供え物を、自らの財布を寂しくして揃え、コンビニから出る。

公園が若干にぎやいでいる。

さっきは気づかなかったが、よく見たらダンボールハウスがたくさんあった。4,5人のおっさんたちがブルーシートの上で集まって何やら話している。そしてその話し声の他に、アコギの音がどこかのダンボールハウスから聴こえる。


……なんていうか凄かった。

そんな難しいフレーズ弾いてる、というわけではなく1つ1つの音が洗練されていて、

…時にパワフル、時に撫でるように優しく、…とにかくピッキングがスゴかった。

それは練習して手にいれた技術から出来るようになった表現というより、いわゆるフィーリングから来た表現だと思う。


しかもそのアコギの音もとても厚みの豊かなもので、相当高いのかもしれない…。


「やっぱドラゴンはギターうめえな!平次よぉ!」

…ドラゴン?


「そうだな~いつも聴かせてもらってるし、こんど一緒に飲みに行きてぇな!自見!」


「けど、おれらが誘ったら、怪しまれてお巡りさんが来ちまうよぉ、なあ平次。」


「おれら、おっさんだもんな~、高校生は良いよな~(-.-)y-~」


「「蛮、それを言うんじゃねぇ」」


さっきからのおっさん達の話からすると、どうやら未成年らしい。

…曲の感じからして、大人だと思った。

しかもサングラス、タバコ、そして酒の三拍子が似合いそうな渋いおっさんが弾いてるイメージだった……。


もうすでにでき上がってしまっていたのか、おっさん達は自分達のハウスに戻っていった。

それからも相変わらずギターの音は止まない。

つい僕は立ち止まって聴いている。






竜子side


…今日のお客さん長いわね。暇なの?

とか思いながら弾いていた。


いつものおっさん達は帰ったが、一人だけつったってこちらのダンボールハウスを見ている。

あまり視力が良いわけではないし暗いから顔までよく見えないが、雰囲気から同年代のようだ。


「………いい加減、疲れたわ…。」


そうぼそっと呟き、部屋着で髪をおろした激突系二重人格理不尽女はニヤリと笑みを浮かべる。


そしてさっそく次の曲に移ろうとしたとき、少年は何かを思い出したようにあわてて公園を去っていった。


「せっかくの新曲だったのに…」

としょんぼりしていたがやがて布団へダイブしてすぐ動かなくなった。





雪幸side


「おかえりなさい!」


家に着いたら、アキは機嫌を直していた。


…そのかわりクルミが部屋の隅っこで体育座りをして俯いてブツブツ言っていた。

被害者が出てしまっていたようだ。

コンビニ袋をクルミに渡した。そして心で、瞳で会話。



……ごめんな。間に合わなかった。



…がる、がるがる。



…えっ?



…がるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるららららららららららららららららあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!



――やばいよ!僕の従姉妹が獣化してる!どうしよう!ってかどうして!アキは何をしたの!?



「クルミどうかしたの?」

と、ボクはアキに聞いてみる。


「さあ?」

と笑顔で言う。


「さいですか。」


…いや!間違いなく何かあったよね!?その普段より無駄にスッキリしたような笑顔が怖くてこれ以上聞けないけどね。



その一方で、暗黒体育座りモードだったクルミはむすっとした顔をして、メロンパンを握りつぶしそうな感じで食べてる。


とりあえずこの状況を無視してバンド進めようかな

…きついけど。

え~となんだっけ?

「で、とりあえずどうする?」

ボクは聞いてみる。


「まあ、曲づくりかな~」

アキは答える。


「……(こくん)」

クルミは頷く。


「で、作曲したことある人ー?」

ボクは聞く。


「……」」


「実は詞を書きためてるとかー?」


「……」」


「よ、よし…!各自考えておこう!今日は自由にやるか。」


「……(こくん)」」



こんな感じで最初からグダグダに始まった。


それぞれバラバラでグチャグチャな音が飛び交っていた。

―いつかはこのバラバラ音が重なる日が来るのかな?

…なんて考えてた。

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