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瓦解 ー3

 ソフィアは自室で震えていた。空腹など感じていなかったはずなのに、久しぶり出された食事を貪り、断続的に眠りに落ち、恐怖で目覚めた。そして、ブブを思い、嗚咽した。


 それから4日間、軟禁状態は続いていたが、その生活は以前とは全く違った。従者は時間どおりに食事を運び、その食事も良質なものが運ばれてきた。従者の態度は一変し、ソフィアに対し、礼儀正しく接してきた。


 3日目には、リュディガー王太子が、部屋を訪れ、体調を気遣ってきた。エアハルトが王宮関係者に何か吹き込んだ、というのはすぐに分かった。


 5日目には軟禁が解かれ、従者も居なくなった。そして、誰もがソフィアを「無実」の王太子妃として丁重に扱った。自由に庭を散歩することができた。戦地にも送られることはなく、訓練もない。余りにも穏やかな生活。


 ソフィアの気持ちは鈍磨していた。もう二度と拷問部屋に行きたくなかった。


 ある日、食器の端に小さな紙が置かれているのが見えた。ソフィアは慌てて掴むと、誰も居ないのに周囲を見渡した。


 紙を、胸の前で握り締め、呼吸を整える。しかし、なかなか開けることができない。これを開ければ、また戦いに行かなければならないかもしれない。


 目の前で蝋燭が燃えている。そこに投げ込んでしまえ、と思う。


 ソフィアは、大きく息を吐き、紙を開く。そこには、暗号文で、ジーモン副騎士団長はエアハルト大司教の死を望んでいる。それ以外では騎士団は動かせない―とだけ、書かれていた。


 現在、大聖堂周辺は厳重な警備が敷かれている。そこに忍び込むのは無謀だった。


 ソフィアは、手紙を握りしめる。その指が震える。今、戦えるのは私しかいない。だが、余りにも恐ろしい。


 ブブの顔を思い浮かべる。いや、行くのだ。そう思い、準備を始めた矢先だった。


「ソフィア様、大司教様がお呼びです」ドアがノックされ、騎士が部屋に入ってくる。


 ソフィアは全身が鳥肌立つのを感じた。一瞬で戦意は萎えていく。

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