プレゼントの正体、そして決着。
今回は過去最長の話かな。色々詰め込んでいたらこうなっちゃった。
聖羅「場外…には落ちてないみたいだね。」
レン「あの斬撃、まさか風魔法か?」
聖羅「てことで解説の雪華さん、どう思うでしょうか!」
雪華「な、何で私なんですか?先生方はもう分かっているんじゃ…」
聖羅「いや、仲良しの視点が欲しいなって。」
雪華「な、なるほど?ニャンルさんの拳には魔法がこめられていました。」
雪華「風魔法、ただニャンルさんの実力ではカーラさんの防御魔法を突破するのは無理です。」
雪華「ですので拳圧を魔力操作で限界圧縮させて内部の風魔法でそれを飛ばす。」
雪華「弾けた拳圧は防御魔法を破り、次の風魔法で身体を切り裂く。」
レン「魔力操作は魔法にだけ左右するものではないからなぁ。」
雪華「ただ、いくらニャンルさんでも昨日今日であのレベルの魔力操作を会得したとは考えられません。」
雪華「恐らくは…精霊魔法、仕組み自体は簡単でしたよね?」
聖羅「簡単だけどさぁ。今は手短の説明で止めておくけど、精霊魔法は精霊に気に入られないと使えない魔法だよ?」
聖羅「本来なら最低でも1週間はかけるんだけど…」
カーラ(受け身を取れたからギリギリ場外には落ちなかった…けど!)
ニャンル「その隙を見逃すほど甘くはないですよ!」
カーラ(拳圧だけであの威力、防ぐ魔法じゃ破られる!軽減の魔法で少しでも威力を…)
威力を落とすって考えになるんだろうが、受け身じゃ今のニャンルには…
ニャンル「…うーん、やっぱりやめた!」
カーラ「はい!?」
ニャンル「ねえ、カーラちゃん、本気で戦おうよ。温存をするような戦いじゃなくて、本気で。」
レン(これは命を奪い合う戦いじゃない。回復の有無を伝えられてないから、確かに魔力の温存は大事かもしれない…だが!)
そんな戦い方じゃ決して、全力で仕留めにかかる獅子には勝てない。
カーラ「…そう…ですね、ニャンルさんにとっては、全てを燃やすような戦い。」
カーラ「なら、私も全力で…いえ、新たな限界地点を作り出してみせます!」
ニャンルの真上に移動した?また広範囲攻撃か?
ニャンル「ワクワク!今度は何が来るんだろ!」
カーラ「これは邪魔になるから要りませんね。」
杖か。恐らくあのカーラの家族かあのメイドが持たせた物だろうが…
レン「あれは確か…魔力の上昇と気力を削り魔力に変換する杖だったな。」
カーラ「この魔法は、気力も大事になるので要りません!」
カーラ「今では自分に合った武器を、過去では杖を、古代では指を使って魔法が行使されていました!」
ニャンル「大量の水が…カーラちゃんの指に…」
カーラ「精霊の力でとにかく圧縮!そして極小サイズの水を…!」
聖羅「おっとニャンル選手テレポート!?消えました!果たしてどうなるのかああああああ!!!」
テンション高いな…深夜テンション的な?
でも、いくら精霊の力を借りててもあんな精密な魔力操作の最中にテレポートを使えるのか?
カーラ(そう、こんな精密な魔力操作の最中にテレポートなんてあり得ない!)
カーラ(どれだけ狙っても誤差は最低5メートルは出る!)
カーラ「でも!これなら!」
聖羅「爆発した!!まさかの爆破魔法だ!!」
レン「止めないのか?確実に脚は持って行かれるぞ。」
聖羅「青春の爆発よ?口を出す方が野暮でしょ。」
ニャンル(爆発のエネルギーでこっちに!私の勘が言っている、これは防御魔法では防げない!)
ニャンル「身体能力限界強化!ニャンルパンチ!!」
煙で闘技場が見えない。どっちが勝った…
聖羅「さあ煙が消える!果たしてどちらがー…」
カーラが膝をついて、ニャンルの拳はカーラの頭上?どういう状態だ。
カーラ「ごめ…んなさい…ニャンルさん…私…」
泣いているのか?…ああ、なるほど。
ニャンル「泣かないでカーラちゃん、大丈夫だよ。」
ニャンル「聖羅先生、この勝負は実力がある人の勝ちですか?」
聖羅「難しい所ではあるわね。殺し合いではないから、勝った者が全てだとは言わないわ。」
聖羅「でも、ルールで言えば、勝った者がそのまま勝者になるべきだと私が思う。」
ニャンル「分かりました、ごめんねカーラちゃん。」
ニャンル「よいしょっと、はいこれでカーラちゃんは場外。」
聖羅「この勝負、ニャンル選手の勝ち!」
聖羅「てか、最後どうなってああなったの?」
ニャンル「カーラちゃんの攻撃は、多分水の剣的な魔法だったんだと思います。」
聖羅「うん、それは分かるわ。圧縮された水は刀以上の刃物になるし。」
ニャンル「流石にそんな攻撃に当たったらタダでは済みません。」
ニャンル「下手な所に当たったら即死だってあり得ます。」
聖羅「それを恐れて躊躇ってしまったと…」
結果はニャンルの勝ちだが、最後の距離を縮める為の爆発…
カーラは脚が折れる前提で爆破魔法を使ったんだろうが、あの様子からして脚は折れていない。
あの魔力操作が将来成長したらとんでもない武器になるな。
クリスタル「戻りました雪華様、どうやらニャンル様が勝ったようですね。」
雪華「ええ、そしてこのブロックの2回戦目は…」
クリスタル「恐らくマジックパワーの項目1位はあの方ですね。」
雪華「ところでクリス、あのいかにも堅物そうなメイドがカーラさんを抱きしめてるけど、どんな話をしたのかしら?」
クリスタル「私は、ただ雪華様への愛を語っただけですよ。」
・・・・・・・・・・試合開始直後【選手控室】・・・・・・・・・・
クリスタル「少々よろしいでしょうか。」
シリアス「貴女は…ウィリー家のメイド長ですね。」
クリスタル「違います。私は雪華・ウィリー様のメイドです。」
クリスタル「シリアス様、貴女の主はどなたなんでしょうか?」
シリアス「一応はカーラ様という事になります。私が最優先するべきはカーラ様の命です。」
クリスタル「では願いは?貴女が叶えるべき願いはカーラ様のですか?それともカーラ様の御父上?」
シリアス「急に来て何なんですか、私はカーラ様が人としての道を踏み外さぬよう…」
クリスタル「中途半端ですね。貴女は人としての道と言いますが、それはただの既存の道ですね?」
クリスタル「カーラ様の御父上が通った道をそのまま通れと言っているんですよ。」
クリスタル「貴女も分かっているはずです。カーラ様はそんな事は望んでいないと。」
クリスタル「私はここへ来る時に、全てを雪華様に捧げると、私が間違っていないと思えばどんな事であろうと手を貸すと決めました。」
クリスタル「あり得ませんが、例えシアン様やティアラ様が制止しても、私は自分の正しいと思った道を進みます。」
クリスタル「今、貴女も決める時なのです。誰に一生を捧げるか、どんな道を歩むかを…」
・・・・・・・・・・現在【闘技場場外】・・・・・・・・・・
カーラ「シリアス…私、負けてしまいました。」
カーラ「お父様やお母様の顔に…ミディアム家の名に泥を…ん!」
シリアス「…そんな事はございません。仮に旦那様や奥様がそう思ったとしても、私はカーラ様を誇りに思います。」
カーラ「…少し、抱きしめる腕が強いです。」
シリアス「す、すみません!お怪我をなされているのに…」
カーラ「いいえ、もうしばらくこのまま…抱きしめていてほしいです。」
全く…うちのメイドは面倒見が良いな。
やっぱり個人への忠誠心は家族愛に繋がると思えちゃいますねー。
家に忠誠を誓う人も居るんでしょうけど。




