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第2話




 *




 「なあ、タクト。そろそろ学校来いよ」


 昼休みのコンビニ前。

 タクトは自販機の缶コーヒーを片手に、向かいのベンチに座る友人の岸本修司を見やった。


 「……悪い。もう少し」


 「早織のこと、だろ?」


 その名前を聞いた瞬間、タクトの胸に鈍い痛みが走る。

 龍野早織。幼馴染であり、家族のように近い存在だった。


 二ヶ月前、柔道の合宿中に事故に遭い、植物状態になった。


 「俺は、待つって決めたんだ。あいつが目を覚ますまで」


 「……けど、そんなことしても、早織が喜ぶとは思えねえけどな」


 タクトは無言でコーヒーを飲んだ。

 修司はため息をつき、諦めたように肩をすくめる。


 「ま、好きにしろよ。ただ、誰かに相談しろよな」


 「相談って……何を?」


 「お前、最近様子おかしいぞ。夜も寝てねぇんじゃねえか?」


 タクトは答えなかった。

 夜、スマホの通知が鳴るたびに胸がざわつく。

 何度削除しても、**「私を助けて」**は送られてくる。


 (いったい、誰が……?)


 その夜、タクトはついに「ある事実」に気づくことになる。


 メールが届くのは、早織が事故に遭った時刻と同じ、夜の10時23分だった。


 そして、その日——

 メールには、初めて**「ある名前」**が添えられていた。

 

 「私を助けて ——Saori」


 タクトの指先が震える。

 思考が追いつかない。


 (……嘘だろ?)


 植物状態のはずの早織から、メールが届いている?


 理解を拒む脳をよそに、タクトの心臓は激しく鼓動していた。


 何かがおかしい。何かが、始まろうとしている——。


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