表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第10話


 「完全ダイブ……?」


 「前回、お前は短時間だけアクセスして戻ってきた。でも、それじゃダメだ。」


 ナオはモニターに複雑なプログラムコードを表示させた。


 「もっと深く、もっと長く。お前自身の意識を完全にデジタル世界に適応させる必要がある。」


 「でも……それって、戻ってこれるのか?」


 ナオは答えなかった。


 その沈黙が、何よりの答えだった。


 「お前がやろうとしてるのは、現実の肉体を捨てるのと同じことかもしれない。二度と戻れなくなる可能性もある。」


 「それでも……俺は行く。」


 即答だった。


 ナオは目を見開き、そして苦笑した。


 「……はぁ。お前、昔からそういうヤツだったな。」


 「頼む。準備をしてくれ。」


 ナオは無言でキーボードを叩いた。


 完全ダイブの準備が始まる——。



 「タクト、ひとつだけ聞く。」


 プログラムの最終設定をしながら、ナオが言った。


 「もし、早織が助からないとしたら——それでも行くのか?」


 タクトは静かに目を閉じる。


 そして、力強く言った。


 「俺は、早織と約束したんだ。」


 「約束?」


 「“約束の地に行こう”って。」


 「……バカだな、お前。」


 ナオはため息をつく。


 「……いいぜ。準備はできた。」


 タクトはスマホの画面を見た。


 そこには、新たなプログラムが起動していた。


 [GATE SYSTEM - FULL DIVE MODE]


 「カウントダウン開始……10、9、8……」


 タクトは息を呑む。


 「……3、2、1——」


 「——行くぞ、早織!!」


 タクトは画面をタップした。


 次の瞬間、意識が闇に沈む——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ