第6話 女神研修
本日分も更新です。
トントン
「失礼します」
シロが自室に入ってきた。
「んっ? なにか用事?」
何かの用事で来たのだろうが、部屋に入るなり驚いた顔をしていた。
「なんですか!! そのはしたないお姿は!!」
お姿って言われても、衣装部屋の隅っこに隠すようにしまってあったジャージで、ベットに寝転んでお菓子を食べてるだけなんだけど……。
「……えっと、はしたないかな?」
「……ノゾミ様にはやはり女神としての自覚がなさすぎます!!」
そんな事言われても困る。
こっちは元はただのOLだ。
それに女神なんてなりたくてなったわけではない。
「自室なんだから良いじゃないの」
言い訳は効きそうもないが言ってみた。
「問答無用です!! ノゾミ様にはもっと女神として、ご活躍されてもらわなければならないのです!! よって女神研修に行ってもらいます!!」
物凄い迫力で言われた。
「女神研修?」
研修と聞くと嫌な事しか思いつかない。
嫌な上司からの無茶振り、やりたくもない接待、先輩社員からの仕事の押し付け、思い出したくもない。
「女神にも研修ってあるの?」
正直ビックリだ。
女神に研修なんて物があるなんて。
「はい、ございます。ノゾミ様が女神として立派になられる為の研修ですので参加してもらいます!!」
「えっと……、拒否は?」
正直行きたくない。
研修なんてろくな物じゃないはずだ。
「強制参加です!!」
シロに引きづられながら自室を後にした。
何処にこんな小さな身体に、そんな力があるのだろうか。
連れてこられたのは玄関だった。
まぁ、研修を家でするわけないから当然だ。
「ここから転移いたします……、目的地設定、女神研修センター」
(ちょっ!! 女神研修センターってなんなの? 日本みたいじゃない。しかも、この玄関は転送ゲートにもなるのか!!)
玄関の先の風景が変わった。
「この先が女神研修センターです」
女神の世界なんだから、もっとメルヘンな移動方法を思い描いていたけど、SFみたいな移動方法だったのがビックリだ。
玄関をくぐるとそこは普通のビルの1室って感じの部屋だ。
いかにも研修がありますって感じの……。
「あれ? 前に1人だけいる」
前の方の席に1人だけ座っていた。
「おや、珍しいですね。この女神研修は落ちこぼれか新人の女神としての自覚がない者が来る場所ですから、大体はお一人でお受けになる事が多いのですが……、ノゾミ様以外の新人女神が誕生したとも聞いていませんし……」
今、さらっと酷い事を言っていた気がする。
しかし、あの後ろ姿、どっかで見たような気がする。
まぁ、とりあえず挨拶だけでもしておこう。
同じ女神なんだから友達になれたら嬉しいし。
「ちょっと後ろ!! うるさいわよ!! ここを何処だと思ってるの!!」
机をバンと叩き、前の席の女神がこちらを向いた。
その女神の顔を私は知っていた。
「あ〜、貴方はあの時の!!」
私に女神の仕事を押し付けたあの女神だったのだ。
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