第29話 高難易度な世界
本日更新分です。
宜しくお願い致します。。
「私は正気ですよ」
「しかし、ここにカラドリスと書いてあるのですが?」
カラドリス?
なんの事だろう?
シロが取り乱す程だから余程の事なのだろうけど。
「ミリン、知ってる?」
「知らないわよ。それよりやけ食いよ!!」
(ダメだ、この元女神は)
ナナさんの方を見てみたが、とても知っているようには見えなかった。
「あの〜、カラドリスってなんですか?」
聞いてみるしかない。
「カラドリスは、これから女神ノゾミが救う世界の名ですよ」
「あっ、なるほど。でも、なんでシロがそこまで取り乱すのですか?」
シロは九級女神の救う世界は、前の世界と大差ないって言ってたし。
「ノゾミ様、それは……」
シロが説明しようとしてくれた時。
「お持ちなさい。それは私が説明致します」
エリア様がシロの言葉を遮った。
「……はい」
シロもエリア様の言葉には逆らえない。
「女神ノゾミ、あなたはアルスアリスの世界を救いました。それはこの2人が放置した世界です。正直に申しますが、アルスアリスの世界はもう救われないかもと思っておりました。しかし、あなたはそれを救ったのです」
そんな大げさな事はしていないのだけど。
「そこで、私は考えました。普通の女神として九級にあった世界を与えるよりも、女神ノゾミに救えるのなら救ってほしい世界を担当してもらおうと」
「えっと、それって……」
嫌な予感がする。
上司が出来ない仕事をふる時の様な気配がするのだ。
「高難易度の世界で、他の女神が放棄した世界なのです」
ほらやっぱり……。
「……私、新人女神なんですけど……」
「分かっています。しかし、あなたに賭けてみたいのです。お願いできないでしょうか?」
エリア様は真っ直ぐ私を見ている。
「えっと、その……」
まだ見ている。
キラキラした瞳までさせていた。
「えっと、……はい……」
観念した。
「ありがとうございます。カラドリスの世界は、先程お伝えした通り、他の女神が放棄した世界です。沢山の転生者が送り込まれましたが、その殆どは倒れています。担当していた女神も二度度カラドリスには関わらないと言っていました。それ程の世界ですが、女神ノゾミ、どうかお願い致します」
そんな大変な世界を新人に任せないでほしいと思ったのは内緒だ。
「はい。できる限りやってみます」
正直断りたかったけど。
「女神補佐ミリン、そして女神ナナ、あなた達も協力してカラドリスを救ってください」
「はぁ〜い」
「んっ? ふぁのふぁたしが……」
「……食べ物を飲み込んでから話してください……」
ゴクゴク
ミリンは飲み物を飲んで流し込んでいる。
「ふう〜、このあたしがいるんですから問題なしです」
どの口が言うんだが?
アルスアリスの世界すら何もしてなかった女神が……。
「シロさんも宜しくお願い致します。勿論、無理と判断したら別の世界を担当してもらいますので、どうか……」
頭を下げるエリア様。
「どうか頭をお上げください。このお世話妖精の名にかけて、やれる所までお世話しますので」
シロも手伝ってくれるようで何よりだ。
「そうですか……、ありがとうございます。あっ、それと、女神ノゾミ」
「はい」
「アルスアリスを救い、九級女神になった事で、初級の回復技が使えるようになっているはずです。これは最後の魔王戦の時に女神神界から転生者に一回だけかけることも出来るので、救いの手助けになるはずですよ」
「回復技って、魔法ですよね!! なんか異世界転生っぽい!! 女神だけど転生っぽいのキター!!」
私がはしゃいでる姿を周りの皆が見ていた。
「あっ、……すみません」
「いいのですよ。では、カラドリスを宜しくお願い致します」
「はい」
私達はエリア様の部屋を後にしようとした。
「あっ、女神補佐ミリン、あなたは残るように」
ミリンの事はしっかり覚えていたようだ。
私達はミリンを置いて先に部屋を出たのだった。
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