第3話 新米女神として
公開初日スペシャル、三回目の更新です。
明日からは、出来る限り毎日更新していく予定ですので、宜しくお願い致します。
家を見ると外見は豪邸のようだった。
流石に女神となると住む家も豪華なのだろう。
「これは中も期待出来そうね」
中を見るのが楽しみになってきた。
今までは仕事場が家みたいな感じだったし、自分の部屋は六畳一間のボロアパートだったからだ。
私はルンルン気分で玄関のドアを開けた。
「お帰りなさいませ、女神ノゾミ様」
「誰? 何処にいるの?」
声はするけど姿が見えない。
「ここです、女神ノゾミ様」
耳元付近で声が聞こえる。
横を向いてみると、小人みたいな女の子が空を飛んでいた。
おそらく、天使か妖精だと思うのだけど……。
「私はお世話係のシロです。今日より女神ノゾミ様のお世話を担当致します」
お世話係?
つまりお手伝いさんって事?
「えっと、何をしてくれるの?」
「はい、家事全般と女神様のお仕事のお手伝いをさせていただきます」
家事全般!!
家政婦と言う事か。
正直ありがたい。
ブラックOL時代は忙しく、料理等はしてこなかったので出来ないからだ。
掃除や洗濯も苦手で、自分の部屋は結構散らかっていた。
「採用!!」
私はシロと握手をした。
「ありがとうございます。では、まずこの屋敷のご案内から致します」
最初に案内されたのは、私の個人部屋だった。
「ここが女神ノゾミ様の個人部屋となります。主にここでお過ごしになって頂いても構いません。そちらには、女神ノゾミ様の生前のお部屋にあった物をコピーさせていただいて、保管してあります」
シロが指差した方に、ダンボールが4箱置いてあった。
(ん? 生前の私の部屋? あそこにあった物って……)
私は急いでダンボールの中を確認した。
「私の愛読書〜!!」
そこにはしわくちゃになった服と一緒に、買って読んでいなかったラノベや漫画が入っていた。
「ありがとうシロ」
感謝しかない。
まぁ、ラノベ等は後でゆっくり見るとして、他は何が入っているのだろう?
3箱は服やラノベ、漫画等で埋め尽くされていた。
残りの1箱は何が入っているのだろう?
持っていた本系は全部揃っていたと思うけど……?
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
私は開けた段ボールを急いで締めた。
「どうしたのですか? 女神ノゾミ様」
(なんでこれが入ってるのよ!! これは実家の屋根裏の奥に隠すようにしまってあったのに……)
「あ〜、そちらの男性が抱き合う本ですか。女神ノゾミ様の大切な物と判断致しましてコピーしました。ですが、女神になられるのですので、処分されるのが宜しいかと思います」
「ほっといて!!」
せっかくここにあるのだから捨てるなんてもったいない。
「と、とりあえず他の部屋も見てみないとね」
その後シロは一通りの部屋を案内してくれた。
思った通り他の部屋も凄かった。
芸能人の豪邸でもここまでの物はないだろうと思えるくらい凄い。
1つ1つの部屋は広いし、家具やカーペットも素人の私が見ても高級品だ。
大きな鏡だけ置いてある部屋もある。
何よりお風呂が広く開放感あって気に入った。
「最後はこのお部屋でございます」
「ここは?」
「ここは衣装部屋でございます」
中に入ると沢山の衣装が並んでいた。
「さっ、女神ノゾミ様、女神に相応しい格好になって下さい」
私は自分の服装を見てみた。
仕事帰りで死んだのでスーツだった。
「はは、だよね〜、こんな女神いないですよね〜」
女神の格好かぁ〜。
女神といえば青系の服がよく見る気がする。
さっきあった女神も青い服だった。
「よし、これにしよ」
私はピンクの服を選んだ。
青じゃないのかと言われそうだが、私は自分の好きな色にしたのだ。
そのまま着替えすませた。
「どうかな?」
ちょっと恥ずかしい気がする。
「とってもお似合いです女神ノゾミ様」
「あっ、あの、その女神ノゾミ様って言うのやめてくれない? 普通にノゾミで良いよ」
女神なんて呼ばれてもまだ実感がないし、なんか恐れ多い気がしてならないからだ。
「……かしこまりました、ノゾミ様」
様はいらないのだけど……。
まぁ、とりあえず女神と呼ばないなら良いかな?
「では、お姿は女神らしくなりましたが、次は言葉遣いです」
「言葉遣い?」
「そうです、普段はそのような喋り方でもよろしいですが、お仕事の際はしっかりとした女神様らしい対応をお願い致します」
女神らしい対応?
あっ、死んだ人を転送させるのがお仕事だったっけ?
接待業みたいな物だと考えれば良いのかな?
「分かった、女神らしいくふるまってみる」
異世界物はかなり見てきた。
その私に死角はない。
「あっ、初の死者の方が来るみたいです。先程ノゾミ様がいらした場所に参りましょう」
いきなり初仕事のようだ。
女神としての初仕事、完璧にこなして見せる。
私は気合いを入れて目的地に向かった。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします!