第26話 任務完了
本日更新分です。
宜しくお願い致します。
「皆さんお疲れ様でした」
とりあえずお礼を言ってみた。
「この変態!! ドスケベ!! あんたなんてエロ魔人よ!!」
アイさんは東をタコ殴りにしていた。
それを鈴木さんは微笑ましい顔で見ている。
(私のお礼なんて聞こえてないよね)
まぁ、それは仕方ないか。
東がエロいのがいけないんだから。
「良くやったわ。 私の転生者のアイ!! 魔王を倒せたのは私のアドバイスのおかげよね!! これで私の株は急上昇!!」
またミリンは火に油を注ぐような事を……。
「あっ、忘れてたわ!! なんが駄女神のおかげよ!! 駄女神のアドバイスなんてやくにもたたなかったわよ!! あれでアドバイスのつもりなんですか〜!! あっ、頭の中も駄目だから駄女神なんでしたっけ?」
(あっアイさん……、それ以上はもう……)
「はぁ!! 良くも言ってくれたわね、この淫乱女!! そんなすぐ透ける、スケスケの服着てるから東なんて言う変態に見られるのよ!! あっ、違うか〜、見られたいからそんな服着てるのよね〜!! 変態は東じゃなくて、アイのほうだったのね〜」
始まってしまった。
ミリンとアイの大喧嘩が……。
「シロ、一回通信を切って」
「出来ません!! これより、魔王討伐の報酬のお時間になりますので、魔王討伐後はそれが終わるまで通信が切れないようになっております」
そんな、この状況で魔王討伐の報酬ですと。
「私はぁ〜、ノゾミちゃんと一緒に寝る権利を〜」
「いやいや、ノゾミさんにそんな権利はありませんから」
こっちはこっちで身の危険を感じる内容だ。
「えっと、改めて魔王討伐お疲れ様です。これから望みが叶えられるみたいなので一回落ち着いてください。 ミリンも落ち着きなさい!!」
って、落ち着く前に、ミリンとナナさんはシロによって無力化されていた。
意識はあるみたいだけど、この二人をどうやって止めたんだ?
しかも、この一瞬で……。
恐ろしいのはやはりシロだ。
「えっと、なんだか静かになりましたので、報酬タイムです」
(えっと、何すれば良いの?)
私はミリンの方を見た。
「えっ? 私知らないわよ!!」
予定通りの回答だ。
「ナナさんは?」
「私もぉ〜初めてのケースだからぁ〜、分からないのぉ〜」
うん、この二人の女神はダメだ。
「シロ〜」
シロは呆れた顔をしている。
「ノゾミ様は女神に成り立てなので仕方ないですが、ミリン様にナナ様が知らないのは問題ですよ。今回は私が説明しますけど……」
シロから報酬の流れを確認した。
シロによれば、望みを聞いて、転生させた女神が祈ればそれ通りになるらしい。
問題は転
生させた女神って所だけど……。
「とりあえず、三人の望みを言ってください、まずは鈴木さんからで」
他の二人はいろいろ問題がありそうなので後回しだ。
「そうねぇ〜、少しだけお金が貰って、これかもここでのんびり過ごせたら良いわ」
なんて欲がないのだろう。
「ナナさん」
「はぁ〜い、任せてぇ〜」
ナナさんは祈り始めた。
少しすると、鈴木さんの近くに宝箱が現れた。
「開けてみてぇ〜」
ナナさんの言う通り箱を開ける鈴木さん。
中には金銀財宝がたっぷり入っていた。
(少しのお金だったんじゃ?)
「お金〜!!」
鈴木さんの目の色が変わってしまった。
眼の前の金銀財宝で人が変わってしまったようだ。
「ナナさん……、まぁ、次はアイさん」
「素敵な彼氏」
躊躇ないなこの人は。
(ってか、東も同じ様なねがいなんだろうな……)
「ちゃんと叶えてくださいよ、め・が・み・さ・ま!!」
怖い。
「はぁ〜、なにその態度!! こっちは女神なのよ!! ほら、土下座してお願いすれば叶えてあげなくもないわよ」
なんて態度のデカい女神なんだろう。
私もミリンの転生者をしてたら、大変な事になってただろう。
「魔王を倒したのは私達よ!! 報酬を貰う権利はあるわよ!! 責任者呼びなさい!! この駄女神を責任問題で訴えるわ!!」
責任者……、責任問題……、生前のブラッキー会社の記憶が……。
(うん、忘れよう……)
「しかし、責任者って……、女神エリア様かな? シロ、連絡とれる?」
「はいはい、宜しくお願い致します……、では」
「えっと、何してるの?」
「はい、以前エリア様と連絡先の交換をしましたので連絡をしました。 ミリン様、このまま駄々をこねるようなら、女神奴隷にと申してます」
「えっと、素敵な彼氏さんですね。 貴方の望みをこの女神ミリンが叶えましょう」
必死に祈っていた。
そんなに嫌なのだろうか、女神奴隷というのは?
「ちょっと、誰もこないじゃない!!」
ミリンがいくら祈っても誰もやってくる気配がない。
流石に素敵な彼氏は無理があったのだろう。
「ミリン様、今回のようなケースは、運命の出会いがうまれるようになります」
「あっ、そうなの。 えっと、コホン……、我が転生者アイよ、近々、運命の出会いがある。 素敵な彼氏を祈っていますよ……」
今更女神っぽくしても無駄な感じはしている。
しかし、運命の出会いがあると分かるとアイさんははしゃいでいた。
まぁ、これでアイさんまでは終わった。
後は……。
「さっ、これで終わろっか」
「ちょっと待ってください、女神様」
「あ〜、やっぱり報酬いるの? 変態東さん」
正直、女の敵なので願いを叶えたくないような……。
でも、仕事だし仕方ないのかな?
「では、望みを言います。俺の言う事ならなんでもきく、清楚で可愛い年下の彼女をお願いします」
丁寧に言ってるが、なんてゲスな願いなのだろうか。
(私はこんな変態でゲスな願いを叶えるの?)
涙が出てきそうだ。
でも仕事だし祈ってみよう。
『その願いは叶えられません』
何処からか声がした。
「誰?」
『私は願いを叶えるシステムを監理する女神システムAIのソルトです。転生者の願いを叶える事は今はできません。ですが願いを叶えるのが仕事ですので、別の世界に再転生させまた世界を救ってもらいます。それを何度か繰り返せば願いも叶うでしょう』
そう説明した瞬間、東の身体が光り始めた。
「ちょ、そんな事しなくちゃいけないなら、願い変更〜」
『願いの変更は出来ません』
「そんな〜、女神様、なんとかしてください」
少し可愛そうな気もするけど、変態的な願いを叶えるんだから、自分で頑張りなさいって事か。
「東さん、変態でゲスで最低な願いでしたが、頑張って世界を救い叶えてくださいね」
私は最高の笑顔で東の再転生を見送った。
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