第17話 3人目の転生者
本日更新分です。
「ここがぁ〜、ノゾミの家ねぇ〜」
着いてしまった。
しかもここまで来るのも大変だった。
走行中に抱きついてくるは、キスを迫ってくるはで、完全なるレズ行為満載だった。
(これからの事を思うとゾッとするわ……)
「早く中に入りましょ〜よ〜」
そう言って私に抱きついてくる。
「もう、やめてください!! それにここは私の家なんですから、節度ある行動をしてください!! 」
ここは強めに出ないとダメだ。
「……紹介するの辞めようかなぁ〜」
「なっ!!」
こっちの弱みに漬け込んできたか。
「どうしよっかなぁ〜」
それは困るのが分かっていての発言だ。
迷うフリをしながら、チラチラとこっちを見ているのが証拠だ。
「ちょっと、うっさいわよノゾミ!! 中まで響いてきてんだから!! テレビに集中出来ないでしょ!! 分かったら静かにしてよね!! ……って誰? 」
いきなり出てきたと思ったらそれか!!
「可愛い〜、ミリンちゃん久しぶりねぇ〜、私よ、女神ナナよぉ〜」
ミリン目掛けて突進していった。
そのままミリンを抱きしめている。
「ちょっと、やめなさい!! って、女神ナナ? ノゾミ!! なんでこいつがここにいるのよ!! 」
ミリンは私を睨みつけている。
「なんでって、なんだう? そもそも、ミリンが前任者がいるなんて言ったから、話を聞きに行ったんじゃない!!」
「だからって、連れて来る事ないでしょ!! あ〜、とにかく離れろ!! 」
なんとか女神ナナを引き離したミリン。
「とにかく、転生者を呼んでみてください……」
まずは異世界の問題から解決しよう。
こっちの問題はその次だ。
私達3人は鏡の部屋にやってきた。
「それでぇ〜、どうして欲しいのぉ〜」
そう言えば詳しい内容までは言ってなかった。
「えっと、女神ナナさんの転生者と私達の転生者を会わせて、協力して世界を救ってくれるようにして欲しいのです」
「あ〜、そんな事だったのぉ〜、うちの転生者は仲間が入れば良いかなぁ〜、やってみるよぉ〜。 鈴、呼びかけに答えてぇ〜」
鏡が映し出したのは、太ったおばさんだった。
「誰、このおばさんは……、でも鏡が映したって事は……、あの〜ナナさん、この転生者はいつ頃送ったのでしょうか? 」
たまたまおばさんが転生者に選ばれただけかも知れない。
希望を捨てるのはまだ早い。
「えっとぉ〜、10年くらい前かなぁ〜」
10年前……、それだけあって世界を救えてないのなら、この転生者は希望無しだ。
早くも諦めモードだ。
「私の転生者さぁ〜ん、返事してぇ〜」
しかも女神っぽさ0だ。
(これに対してのシロの様子は……)
そっぽ向いていた。
シロも諦める程の女神か……。
「なにこの声は……誰なの?」
「私〜、貴方を転生させた女神様でぇ〜す」
ノリが軽いな〜。
「女神様? あ〜あの時のちびっ子女神様ねぇ〜、懐かしいわぁ〜、それで、今頃どうしたの?」
今頃って事はこの女神も連絡しなかったのか……。
「ごっめんねぇ〜、あの頃は子供だったしぃ〜、それで今の魔王討伐はどおなのぉ〜」
「あ〜、私が貰ったスキルって支援系なのよね。一時期はこの世界の冒険者と連携してやってたんだけど、この世界の人が弱すぎて話にならなかったのよ」
アルスアリスの人達って弱いのか!!
まぁ、転生者を送るくらいだから、そういうものなのかな?
「まぁ、それでもちょくちょくは狩りに行ってるわよ、魔王を倒せるとはちっとも思わないけどね」
でもこの人支援職なのか……。
「ナナさん、ちょっと変わって貰えます?」
「ん〜、良いよぉ〜」
ナナさんに変わって貰って話す事にした。
「女神ナナさんの転生者である者よ、私は女神ノゾミ」
うん、我ながらなかなかの女神らしさだと思う。
「あら、こんにちは」
(こんにちはって、道端の挨拶じゃないんだから……)
まぁ良いか。
「女神ナナさんの転生者、まずはお名前を伺ってもよろしいですか?」
まずは名前から。
「あら〜、そっちの女神様から聞いてないの〜、私は鈴木未知子ですわ」
聞いてないから聞いてるのよ。
それに、聞いても分からなかったと思うし。
「そうですか、鈴木未知子さん、貴方は支援職と聞きましたが、何が出来るのでしょうか?」
これを聞かないといけない。
出来る事次第ではいけるはず。
しかも、冒険者と組んで戦う事もあるみたいだから、戦う事は大丈夫そうだし。
「そうね、普通に仲間の強化や攻撃の全体化とかですかね。 後は敵の弱体化とか……」
(攻撃の全体化!! なにそれ、めっちゃ良いじゃん!! )
これは東の攻撃を全体化させて、更に強化。
アイさんの回復と……、パーティーとしては申し分ない組み合わせだ。
これは、このチャンスを逃してはいけなくなった。
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