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第11話 東とアイ

本日更新分です

 東とアイさんが会うまであと少し。

 鏡の間で待つ私達。


「あ〜、ちゃんと出来るのかな〜、心配だ、心配だよ〜」


 東は女の子だから会う、アイさんは男だから会うって、合コンのセッティングじゃないんだから。


(私なんて合コンに行った事すらないんだけど……、それに彼氏いない暦=年齢だったし……)


 落ち着かなくて部屋の中をグルグルと徘徊していた。


「ちょっと落ち着きなさいよ。そんなにグルグルされるとホコリが俟ってお菓子が食べにくいでしょ」


 いつの間にかミリンがポテトチップスを食べていた。

 しかも、テーブルと椅子まで用意して……。


(いつの間に……)


「って、今から世界を救いに行く2人が会うのに、ポテトチップス食べます? 」


「大丈夫、大丈夫、この私がいるんだから問題ないわよ。2人は意気投合してパーティー組んで、魔王をサクッと倒してくれるから。そしたら、ノゾミをサポートした優秀な女神として飛び級して上位女神になったりして!!」


 ミリンの顔がニヤけている。

 そんな都合よくいかないと思ってるのは内緒だ。


「ノゾミ様、ミリン様、そろそろ時間ですよ」


 シロが呆れた顔でこちらを見ている。


「良いですかお二人共、女神らしくお願いします。 特にミリン様」


 シロがミリンを睨みつけた。


「大丈夫、大丈夫、この私に任せておきなさい」


 この自信は何処から来るのかが知りたい。


「では、始めてください」


「我らが転生者の姿を写せ!!」


 大鏡に2人の姿が映し出された。

 同じレストランにいるようだが、席は離れて座っている。

 誰が勇者か分かってないようだ。


「ここは男から声をかけた方が良いわよね?」


「そりゃそうでしょ。ノゾミの転送者から声をかけてさっさと話しを進ませて」


 ポリ


 ミリンはまだポテトチップスを食べている。


「はぁ、まぁ良いか……」


 シロも呆れて困り果ててる気がする……。


「えっと、東さん、聞こえますか?」


 私は声をかけた。


「あっ、女神様、その例の可愛い女性は何処ですか?」


(お前は可愛い女性にしか興味はないのか!!)


 湧き上がる感情は抑えて……。


「あなたの席からみると、1番後ろの席に座っている方がアイさんですよ、さぁ声をかけてください」


 東はすぐに立ち上がり、アイさんの所に向かっていた。


「ん? あなたは?」


「ワタクシ、東崇人と申します。女神ノゾミ様よりこの世界に召喚された勇者です」


(誰だお前は……)

 

 なんという豹変ぶり。

 引きこもりじゃなかったのか!!

 目の前にいたらぶん殴ってる所だ。


「ノゾミの転送者、面白いわね〜」


 ミリンは笑っている。


(こいつも殴りたい……)


 でも今は仕事中……。

 私は深呼吸をした。


「えっと、東さん、アイさん、2人が世界を救う勇者になるんですよ。力を合わせて世界を救ってください」


 ここから異世界攻略が始まるのだ。


「嫌です!!」


「さぁ、旅立ちな……、えっ? 今なんて?」


 聞き間違いかな?

 嫌ですって聞こえたような?


「嫌ですって言ったんです。こんな気持ち悪い人と一緒に勇者なんて出来ません!! 女神様の紹介って言うから大本命だと思ったのに……、正直裏切られました」


(いやいや、会って確かめてって言ったよね?)


「気持ち悪い……」


 東はアイの言葉がクリティカルヒットしたらしくうずくまってしまった。

 これが東の普通の姿だ。

 ザッ引きこもり。


「はぁ、こんなんでうずくまるとか情けないんですけど〜」


「ちょっと、ちょっと、雲行きが怪しくない?」


 正直どうしたら良いのか分からない。

 東はアイさんの言葉で戦闘不能になってるし。


「仕方ない、このミリン様に任せなさい」


 不安しかないが、どうしたら良いか分からない今は、任せるしかない。


「お願いします」


「任せない!! 私の転送者アイ。あなたはその男と世界を救うのです。さすれば、あなた好みのイケメンと出会わせましょう。東さん、あなたにも世界を救う事が出来ましたら、あなた好みの女の子と出会わせましょう。出会いたければ、2人が協力し、魔王をたおすのです。」


 なんか凄い事言ってる……。

 しかし、こんなので騙されるやつなんて……。


「「本当ですか!!」」


 はい、いました。


「女神は嘘を言いません」


 しかも、嘘言わないとか言い切ったよこの女神。


「分かりました、アイさん!! やりましょう」


「ええ、東さん!! やりましょう」


 えっと、魔王を倒してくれる方向になったけど、良いのかな?


「それでは、お願いしますね」


 通信が終わった。


「ふぅ、ざっとこんなもんよ」


「こんなもんよじゃないですよ、さっきの嘘ですよね」


「とりあえず魔王を倒してくれればなんでも良いじゃない、細かい事は気にしない、気にしない」


 いや、細かくないから。

 嘘でやる気出されても、後が困るから。


「そんなの後で考えれば良いでしょ、それに私はサブなんだから、ノゾミがなんとかすれば良いのよ」


 後処理は私か!!


 こうしてはいられない。

 早く今のは嘘でしたって伝えないと。


「シロ、早く通信を」


「焦らないでください、ノゾミ様」


「これが焦らずにいられますか!!」


 このままだとマズイ方向に向かってしまうからだ。


「大丈夫です。ノゾミ様は知らなかったようですが、世界を救った褒美に勇者にも報酬が出るんです。なので、その報酬で素敵なボーイフレンドとガールフレンドと言えば良いだけです」


「……そうなの?」


 私はミリンの方を向いてみる。


「えっ、あはは、だから言ったでしょ、女神は嘘つかないって……、信じなさいよね……あはは〜」


 絶対に知らなかったな。


 まぁ、とりあえずなんとかなったんなら良かった。

 でも、まだ気は抜けない。

 魔王を倒してくれるその日までは。

 

お読み頂き、ありがとうございます。


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