第1話 わけわかんないですけど〜!!
テイルです。
本日から、『転生したら異世界に行くはずが女神になちゃいました〜異世界には私が行きたいのになんで他の異世界転生者をサポートしないといけないの〜』の連載を開始しました。
お楽しみ頂けたら幸いです。
Xにて、更新のお知らせをしていきますが、そちらにはヒロインの画像を載せますので、是非御覧ください。
そして、本日は後二回何処かで更新しますので、おたのしみにしてください。
「よし、17時!! 定時だ帰ろう」
私は席を立とうとした。
「おい花村!! 追加の仕事だ!!」
「えっ? もう定時ですけど……」
「ああ?」
怖い顔で睨まれたのでなにも言えなくなった。
気の弱い自分が嫌になる。
バサ
机の上に置かれた大量の書類。
「……えっと……これ……なんですか?」
眼の前の大量の書類を見ながら聞いてみた。
「得意先関連の大切な書類だ、これをまとめろ」
「……えっと……いつまで……ですか?」
正直聞きたくない。
嫌な予感しかしないからだ。
「喜べ、明日の朝までだ!!」
笑顔で答えが帰ってきた。
笑顔って言うのがまた腹が立つ。
って明日の朝!!
この量を?
「もちろん主任も手伝ってくれるんですよね?」
期待はしてないが、聞くだけ聞いてみた。
「ああ? 俺は疲れてるんだよ!! だいたいこんな仕事は部下であるお前の仕事だろ!! 昔の俺だったらこれくらいの仕事、喜んでやったものだ!! これだから今の若い者はダメなんだ!!」
またいつものやつが始まってしまった。
何かと言えば若い者はダメだとか、昔の俺はとかはこの主任の口癖のような物だ。
まぁ、今の主任を見ていたら本当にやっていたとは思わない。
部下に仕事を押し付けるしかしていないからだ。
でも……。
「……分かりました……やります、やらせて下さい……」
NOと言えない自分が悔しい。
「そうか!! やりたいか!! なら、仕方ない、やらせてやろう!! じゃあ後は宜しくな」
そう言って上司は帰ってしまった。
(今日も徹夜かぁ〜……)
こんな人も少ないブラック会社に入ってしまった自分を呪いたい。
しかし、就職超氷河期な今は転職なんて出来ない。
辞めたら次の仕事なんて見つかるはずがない。
そうでなければ、とっくにこんな会社辞めている。
(たまには大好きな異世界物のラノベをゆっくりと読み漁りたい)
「……それをするにはこの大量の書類かぁ……」
見るのもうんざりする量だ。
(まっ、やるしかないか)
私は作業に入った。
終わったのは、始発が動き出す頃だった……。
「終わった〜!!」
今すぐにも寝たい。
しかし、こんな職場で寝たくない。
理由は他にもある。
それは、今日は珍しい月1の休みの日だからだ。
「帰りますか……」
家はここから電車で1時間の距離だ。
(とりあえず駅に行こう……)
徹夜で頭がフラフラしているが、なんとか帰るしかない。
助けてくれる人なんていないのだから。
なんとか駅に辿り着いた。
後は電車に乗って最寄り駅に行くだけだ。
『2番線から快速急行が通過致します。白線の内側までお下がり下さい』
電車が来るみたいだ。
(しかし眠い……)
私は何も考えられなくなっていた。
そして……。
「ここは……?」
目を覚ますと真っ暗な部屋に立っていた。
(あれ? 私は確か家に帰ろうとしていたはずじゃ……)
それにさっきまでの身体の怠さがなくなっている。
「ようこそ花村望さん、あなたは電車に引かれて死にました」
いきなり残酷な事を言う人が現れた。
「死んだ? 電車に引かれて? じゃあここにいる私は?」
冗談にしては笑えない。
それに電車に引かれたって言った?
お酒飲んでた記憶もないし……徹夜仕事して、寝不足だったから駅のホームから落ちた?
でも、そんな間抜けな事しないはず……。
「あなたは死んだのですよ。駅のホームから転落しやってきた電車に引かれ、無惨な姿になったのです」
この雰囲気は冗談を言っているようには見えない。
なら本当に引かれたのか。
しかも無惨な姿って……。
「そしてここは天界……私は麗しき女神ミリンです」
神々しい光がミリンと名乗る者に当たって、女神というのは真実味があった。
でも自分で麗しきとか言うかな?
「あなたが女神様? ならこれって、もしかして異世界転生ってやつが出来るんですか〜?」
異世界転生ならラッキーなんてものじゃない。
異世界シリーズ物を読みまくり、アニメも毎週欠かさずチェックしていた私にピッタリの展開だ。
まぁ、アニメは取りダメだけでなかなか見る暇はなかったのだけど……。
「ちょっ、何その反応? いや、確かにそうなんだけど……。あっ、コホン……、あなたは異世界を救う勇者とし転生するのです」
本当に異世界転生らしい。
「やったぁ〜!! これでブラック企業で働くOLは卒業、大好き異世界でチート無双の生活、こんにちは!!」
嬉しすぎてその場で踊りだしてしまった。
「その踊りはなんですか……、まぁ理解が早く助かりますが……、ではさっそく……」
パチン!!
女神ミリンが指を鳴らすと、目の前にガチャガチャの機械らしき物が現れた。
てかどう見てもガチャガチャの機械だ。
「あの〜、これは?」
ガチャガチャの機械だと言う事は分かる。
子供頃、良く親にねだってやらせてもらっていたくらいだ。
「それは、スキル&職業ガチャです。それであなたの運命が決まります」
ガチャでスキルと職業が決まる?
(今どきのスマホゲームじゃないんだからガチャって……)
普通の転生物ならチートスキルが選んで貰えたり、備わってたりするものじゃないかしら?
でも、チャンスにはかわりない。
私はおもいっきりガチャを引いてみた。
コロン
黄金色のカプセルが出てきた。
「開けてください」
女神様の言う通りカプセルを開けてみた。
『職業・第10級女神 スキル・転送』
目の前に大きく文字が表示された
「えっ? なにこれ……」
職業……女神?
勇者とか魔導師とかじゃなくて?
「……おっ、おめでとうございま〜す。い〜や〜、職業女神、待ってたんだよねぇ〜。こんな仕事、もう嫌だったんだよねぇ〜、じゃ、具体的な引き継ぎは後で誰か連絡係をよこすから宜しく〜、あ〜、良かった〜」
女神は急に態度を変え、あっという間に何処かに行ってしまった。
「えっ? なに? 異世界は? 勇者は? 私、これからどうなるの? もう、訳わかんないですけどぉ〜」
私の叫びがこだましている。
これは、異世界転生ものではなく、女神になってしまった私の物語だった……。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします!