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アークモンスター

納屋と畑が隣接した農家から気の良さそうな老夫婦が出てきた。依頼主だった。


「お一人ですか?」とお爺さんは訊いてきた。


「もう一人は後から来ます」


「随分と痩せていますね」とお婆さんが遠回しに僕が貧弱に見えると言ってきた。


「ドラゴン退治が依頼内容ですよね?」僕は話を逸らすように尋ねた。「高額な報償金ですけれど」


「報償金自体は村から出す決まりでして。村の揉め事は村自体の寄付金でまかないます」


「なるほど」僕は周囲を見渡してから思いついた事を訊いた。「特に被害の形跡は見当たりませんが」


「作物が定期的に盗まれます」お爺さんは言いにくそうに言った。


「盗まれる?」


「はい」


「ドラゴンが盗んでいると?」


「はい」


「コソ泥ではなく」


「はい」


「大規模に荒らされたという形跡は?」


「畦道に舞い降りて農作物に影響がないように少しずつ盗んでいきます」


「それはあなたの家の畑だけですか?」


「他の家も時折。ただここの畦道は比較的広いので農作物の事を考えてうちだけを集中的に狙っているようです」


「落ちたよ!」とその畦道の先からザイカが元気いっぱいに走ってきた。


「あの方は?」


「パーティーのメンバーです」


「あのちっこいのが?」お婆さんがガッカリしたように呟く。


「ええ、まあ」僕は目を逸らしつつ答えた。


「どうしたの? そろそろやっつけちゃう? ドラゴンは何処?」


 僕は考え込んだ。


『それってアーク・モンスターじゃないの?』コーシカは僕の耳元で呟いた。


『ああ。しかもだいぶ人間としての意識が強い』


「アーク・モンスター」とは僕とコーシカだけの造語だ。人間としての意識が強いモンスターを総称して呼んでいる。


『報償金ゲットだぜ!』とコーシカは叫んだ。


『だが悪意が無いとは限らない』


『農作物に被害が出ないようにわざわざ畦道に舞い降りるドラゴンが?』


 もしこれで多額の報償金を貰えたとしたらむしろ罪悪感すら抱く。


『いいんじゃない? これまでのアポスの事を考えるとそれくらい当然だよ!』


『いや、まだ分からないし』


『頑なだなあ』


「ドラゴンは夜中に来ます。皆恐れて夜は外に出ません」お爺さんは申し訳なさそうに言った。「依頼内容に書くのを忘れていました」



もし今後の展開が気になる

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