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中編 国債発行額のみでは潰れない理由と注意点

質問者:

 前編ではコロナ対策でケチったから日米金利差に繋がり、それが円安になったことまでは分かったんですけど……。


 しかしどうにも国債を発行することに抵抗があるんですよね……。

 だってよく考えてみてくださいよ。通貨の発行量を増やしたら薄まって価値が下がると考えるのが普通ではありませんか?



筆者:

 そう言う考え方を持っている方は多いと思いますが、それは前近代的な考え方で金本位制度的な考え方です。

 かつては小判の金含有量によってお金の価値が変わるという事がありました。


 しかし、金本位制度ではなくなった現代社会は全く経済構造が違うという事です。


 それを証明するためにも逆に「国債を発行するタイミングで通貨安が動いていない」と言うところを僕は指摘していきたいと思います。



質問者:

 えっ! どういう事でしょうか……。



筆者:

 そういった金本位制度的な旧来の一般的な感覚で言うのであれば「財政赤字拡大」の段階で円安になるのだと思うのです。


 そのタイミングと言うのは、冬頃に来年度予算の概要が決まった瞬間や国会の予算で国債発行額が確定する瞬間だと思うんです。


 でもその瞬間に大きく円安になったなんてことはありません。


 実際は日米の金利差がどうなるのか? と言われるときに円安や円高になっていたのが事実としてあるのです。



質問者:

 確かにそう言われてみればそうですね……。



筆者:

 また、その理論で言うのなら「財政赤字拡大期」に大きく円安が進んでいてもおかしくはありません。


 実際のところ過去最大で財政赤字が膨らんだのはコロナ対策で赤字国債100兆円を発行した。2020年でした。

 しかし、2020年1月に109円だったのが年末には103円とむしろ円高になりました。


 2番目に赤字国債が多かったのは民主党政権時代の2009年度の52兆円でした。

 その年は1月に91円、12月は92円とほとんど変わらずでした。

(他の年はおよそ30兆円前後なのでこの2年は抜きんでて多かったことが分かります)


 逆にアメリカはコロナ支援金の700兆円を国債ですべて賄ったのですが、円高ドル安に極端に振れたという事も無かったです。

 この様に見ていっても通貨発行量と貨幣価値と言うのは現代金融経済において全く関係ないという事がお分かりいただけたかな? と思います。



質問者:

 なるほど数字的に国債発行タイミングと関係が無いという事は分かりました。


 でも、これはマスコミの刷り込みなのかもしれませんけど、

 国債の発行額がGDP比率世界一と言うのはやっぱり怖くないですかね?

 これまではたまたまクラッシュしなかったというだけで……。



◇国の財政状況は4指標で総合してみることが大事



筆者:

 そもそも皆さん勘違いされているのは国際的に見れば日本は「財政上健全」ですよ。



質問者:

 え……普通考えれば国債の発行残高によって決まりそうな気がしますけど……。



筆者:

 クレジット・デフォルト・スワップ(以下CDS)と言う指標があります。

これは特定の国のデフォルトリスクに対する一種の保険です。

この数値価格が高いほど、デフォルトの可能性が高いことを示しています。


 よく話題になっている政府純債務/GDPだけで見た場合ではどの国と比べても最もリスクが高くなるのですが、他に対外純資産/GDP、政府債務対外債務比率、経常収支の3つの指標があります。


 このうち対外純資産/GDP、政府債務対外債務比率とが断トツで良い方で一位、

 経常収支もドイツに次いで2番目に良く圧倒的にリスクが低く、

 4指標を合計すると財政リスクが高い国ではないのです。


 むしろ、この4つの指標を総合して換算するとG7の中で2番目の低リスク国である(一番低いのはドイツ)とまで言えるのです。


 世の経済学者や新聞はこのことについてほとんど論じてくれていません。

 不安ばかりを無駄に煽って、緊縮財政を無理やりさせようとしているのです。



質問者:

 えぇ……一般的には真逆の考えですね……。

 どうして世の中の人たちは真逆の方向にさせるのでしょうか……。



筆者:

 まず特に欧州が国ごとに通貨発行権を持っていないことから自由にお金を発行することが出来ません。


 それでいて、日本が自由に発展することが出来てしまえば「世界のパイを日本に奪われてしまう」と各国が恐れて「日本の最善手が国債を発行することだ」と教えてはくれないのです。


 また、お偉い経済学者さんやお役所の人間ほど無駄に留学して西洋かぶれの理論ばかりを得て帰ってきます。

 そう言った完全に日本の実態経済とは異なった価値観で物事を見ていると、

 抜群の頭脳を持っていても乖離が生じていくのもやむを得ないと思います。



質問者:

 海外の国からしてみれば日本が勝手に沈没していく分にはメリットしかありませんよね……。


 でも、日本って国内からの声でマインドチェンジすることってあんまりありませんよね?

 ジャニーズの問題だって海外からの告発で加害者が亡くなった後にようやく動いたぐらいですから……。



筆者:

 やっぱり気が付いた日本人から発信していくしかないと思います。

 

 マイノリティではあり続けていますが、徐々にではありますし、ちょっとずつ論調は違いますが「積極財政派」という人たちは広がりを見せています。


 正しい現代貨幣観を理解する方を増やしていくことがとにかく大事になります。


 ただ、ここに注意していきたいことがあります。



◇逆進性のある税金の負担軽減が重要



質問者:

 積極財政をすることについて注意する必要があることなんてあるんですか?

 


筆者:

 一つ注意しなくてはいけないことは今現在日本が行っている減税政策を強化する方法だとほとんど効果が無いので、すぐさま緊縮路線に巻き戻されてしまうと思います。


 

質問者:

 えっ……具体的にはどんなことをしているんですか?



筆者:

 現在のところ経団連に所属している大企業に財政出動(減税・補助金)は集中しているからですね。色々な方法で法人税減税がなされており実行税率は10%代前半とも言われています。


 こうした「隠れ法人減税」では100%日本の未来は良くなりません。

 儲かっている大企業(法人減税の影響を受けられるのは利益を上げた企業のみ)は税制優遇など使わずとも自然と給料が上昇するはずです。

 

 儲かっている大企業が賃上げをできていなかったのは労働組合の怠慢と言え、税制で補うものでは無いでしょう。


 法人減税の他にも賃上げを条件とした補助金などもあり、「富めるところはさらに富む」と言った状況を生んでいます。

 格差ばかりを生んでいく政策ばかりを国債を発行してやっても日本国家全体としてはプラスになりません。

 富んでいる人の消費能力でも限られていますし、外国で消費するともわかりませんからね。



質問者:

 確かに企業以外の対策でも子育て支援金と言うのも結婚して子供が既にいるご家庭が有利であって、

 これから結婚しようか悩んでいる人に対しては恩恵は薄いですよね……。



筆者:

 結婚しているご夫婦の合計特殊出生率は1.9代で耐えています。

 結婚促進政策=経済対策のはずです。

 若者の経済的余裕が必要なので、包括的な経済支援策として逆進性が強い消費税減税と所得が低い層の社会保険料減額が適切なのです。


 また必須産業である農業や介護といった部門に人を振り分けるような固定価格買取制度、補助金などを投入していく必要があるでしょうね。



質問者:

 確かにズレたところにお金を永遠と使ってもしょうがないですよね……。



筆者:

 企業の利益から生み出された内部留保も国内投資では無く国外への投資に活用しています。「トリクルダウンは無いと諦めて」貧困対策をに全力を注ぐのが大事でしょう。


 また今は外国人を呼ぶことで経済を支えようとしていますが、

 これは発展途上国の発想なので直ちにやめていただきたいように思います。

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