賀状
お正月から数日たったまだまだ寒い頃だ。
年が明けてもまだ感覚が抜けないが、僕は長い休みに満足していた。
正月のにぎわいはあっという間だ、それでも子どもたちのういういしさも忘れられない。
僕は公園のベンチでタバコを吸いながら、まさに人通りを感じる通勤時間の風景を眺めるのが好きだ。
仕事に向かう人々はいつもなんとなく同じ光景がよぎる。
変わらない休みの光景だが、袴姿の女性を見かけたのだ。
僕はその女性を不思議と追いかけた。
見たことがない、でもキレイだ。
ほんとにあったことはないが、雰囲気に誘われるのだ。
なぜだろう、ドキドキする。
僕は迷わなかった。
周囲の景色まで変わってゆく。
まるで出店屋台の外道路だ。
女性とははぐれた。
でも僕は楽しいと思いながら迷路にはまった。
帰りたくない、こんなに楽しいところはしらなかった。
僕はもう帰れない…