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挿話: 触媒
本日は3話更新しています。こちらは1話目です。
それは淡い光の玉に包まれて、后の棟から送られてきた。
シールドを外され、無防備にポトリと落ちたそれを、受取人の優雅な指がつまみ上げる。
「ほう、これは……」
喜びを隠しきれない含み笑いが重厚な書斎に揺らめいた。
「さすがに四六時中、あの小娘にくっついているだけはある。人間にとって、これはかなり重要な価値を持つのではないか」
左手でもてあそびながら、右手で鞭をひと振りする。
部屋の陰に、背中の曲がった青年が現れた。
艶やかな栗毛と細長い顔。長い手足は、小さく曲がった体型にそぐわず、俊敏に動く。
「殿、お呼びで」
「ヤークル。あの人間のところから届いたものだ。そなたの領分であろうよ」
手渡されたものを見て、青年も意外そうな声をあげた。
「ホフォー。これは、いろいろ使い出がありそうです」
「仕掛けは幾重にも組んである。好きに活かすがよい」
頬を歪め、青年は手の中を見つめた。
それは、アルミ合金製の鍵だった。




