プロローグ
俺は29歳独身でごく普通の、世の中に有り余る(ややブラックな)企業に勤めるサラリーマンである。
30歳の誕生日を明日に控え、本日も元気に上司と残業中である。
「山下くん、明日のプレゼン資料は間に合いそう?」
「ええ、丁度今…終わりっと」
時刻を確認すると22時、その瞬間腹の虫が思い出したかのように悲鳴をあげた
「はは、お疲れさま。一杯やりに、と行きたいところだけど明日も早いし帰る前にさくっとラーメンでも食べに行く?」
「いいっすね! 酒は明日のプレゼンが終わったら速攻で浴びにいきましょう!」
「このプロジェクトが成功したら、課長にたかりに行こうじゃないか」
「先輩の色仕掛けに抗える男はいませんからね」
「何が色仕掛けよ、そこは高度な交渉術と言いなさい」
会社のビルを出てすぐのところに今時では珍しい屋台がある。
会社の飲み会の後、よく行くうちにその味にハマってしまった。
「おっちゃん、いつもの!」
「兄ちゃん達今日は早えじゃねえか。しかも素面たぁ。いつもは日が回った頃に愚痴溢しながら入ってくんのによ」
店主のおっちゃんが笑いながら麺を茹でてくれる。
「私たちがいつもいつもお酒飲んでるような言い方しないでください〜」
「先輩、また明日飲んだ後にも来ることになるので何も言わぬが花ですよ」
「くっ、」
そんなこんなでおっちゃんと先輩と談笑すること数分。
「はいよ、バリカタネギ増しとハリガネ背油ニンニク増し増しお待ち」
こってり濃厚な魚介豚骨の香りが空腹をさらに促進させる、それを箸で目一杯すすり上げ口いっぱいに頬張った
「あー、もし明日地球が滅亡するとしたら最後はおっちゃんのラーメン食べに来ると思う。俺」
と思ってることが口から出てしまった。ラーメンの汁と一緒に。
「汚えな馬鹿野郎、地球最後の日に屋台なんて出しちゃいねえよ」
「一度食べたら病みつきになるこの味、後世にも語り尽くすべきね」
「何を姉ちゃんまで大袈裟に、本当に素面か二人とも」
ふと明日が自分の誕生日であることを思い出した。
「あー、とうとう明日で俺も30代に突入か」
「それは30代2年目の私をdisってるってことでいいかしら」
「あ、いや、そういうわけじゃ
急に辺りが明るくなった気がして空を見上げるとその瞬間
世界は白い光に包まれ目を閉じた。
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いったい何が起こったのか。ついさっきまで食べていたラーメンの味を思い出しながら目を開けると
そこには知らない金髪モデル風美人と、これまた知らない茶髪のメガネ美人が俺を覗き込んでいた。
What? Who Are You?




