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第31話ボーゲルと権左郎2、ヒナと混浴!?


黒石の屋敷の5階テラス、そこには限られた者以外入浴出来ない温泉がある。


そしてその温泉に浸かるのはこの屋敷の当主、黒石権左郎その人だ。


権左郎は温泉に浸かりながら、ゲーム[モナと一緒]をプレイするのが最近の流行りで、一晩中温泉に浸かりながら、プレイする時もあるほどハマっているのだ。


最近、マリアにゲームの設定を変えてもらい、今では最高Lvの100を超えて、Lv236とモナちゃんをチートにして楽しんでいる。


「ウフフ、モナちゃん。 今日はどの国を滅ぼしましょうかねぇ」


ちなみにこのゲームは、人間、エルフ、ドワーフ、獣人、魔人、竜人と様々な種族が暮らすアトロスフィアという世界のお話だ。


プレイヤーの意思一つで国を興したり、滅ぼしたり、ジェノサイドプレイまで、プレイヤーの思い通りに何でも出来るのだ。


禁呪と呼ばれるチートを使えば、自分だけのオリジナルの種族まで創れてしまう。


そしてこのゲームの監修はマリア先生だ。



「権左郎様、よろしいでしょうか?」


1人温泉に浸かりゲームを楽しんでいると、外からボーゲルの声が聞こえた。


途端にゲーム機を温泉の中に隠す権左郎。



「なんだ?」


「優畄様の件でお話があります」


「優畄? あああの小僧か、それがどうした?」


すっかり優畄の存在を忘れていた権左郎。



「磯外村のあの者等を片付けたと報告が入りました」


「ほう、確かあそこにはディープスレェトゥンが居たはずだが」


「はい。優畄様が討伐されたと報告があります」


権左郎は顎髭を扱きながら考を巡らせる。



「ふむ、なかなかの拾い物じゃった様じゃのう。 よし次は黒雨島に送れ」


「はい。かしこまりました」


「アレだけで足りぬなら分家の者を共に行かせろ」


「はい。かしこまりました」


そして権左郎は、ボーゲルの足音が遠ざかり消えたと同時にゲーム機を温泉内から取り出す。


防水仕様のため濡れても平気なのだ。



「さあモナちゃん、今日はこのクソ生意気な女王の国を滅ぼしましょうねぇ」


老人は1人ぶつくさ言いながらゲームを楽しむのだ。



ーーー



洗い場で身体を洗う事にした僕たち、先に頭を洗い昨日までの汚れをおとす。


体を洗おうとすると、ヒナは僕の隣にピッタリくっついて離れようとしない。



「ひ、ヒナ、もうちょっと離れてよ、洗い辛いよ」


「イヤだ、優畄が私の体を洗って!」


(えっ、何この積極性、ヒナさんてこんなに大胆だったの?!)


ヒナの大胆な要求にタジタジな僕、嫌とも言えず仕方なく、いや内心ドキドキしながらヒナの背中を洗う。


出るとこは出て引き締まるところは引き締まったヒナの体は、背後からでもその美しさに魅入られるほど。


背中を洗い終わると、ヒナがおもむろにこちらを向く。そして頬を赤らめながら言う。



「前も洗って……」


「そ、そ、それは流石に……」


これ以上いったら僕の理性が崩壊してしまう。



「いいから洗って!」


「わ、分かったよ、じゃあ先に僕の背中を洗ってよ。そうしたら前も洗うから」


シブシブ了承して僕の背中を洗ってくれるヒナ。



「私、優畄の背中大好き〜」


最初の頃はよく背中に背負ってあげてたからな、あの頃に比べると彼女も逞しくなった。


まあ、2日前の事なんだけどね。



そして僕は、満を持してヒナの前面を洗う事になったのだが……


ヒナがハイとばかりに手を広げると、大き過ぎず小さくもない見事な形の乳房がプルルンと自己主張する。


(ゴクッ……)


タオル越しに胸に触るとピクンとヒナが反応する。そして僕はマシュマロの様な柔らかさの胸を優しく洗う。



(……凄い、こんなに柔らかいんだ)


ヒナも終始モジモジしていたけどやり切った。



なんとか頑張ってヒナの上半身を洗ってあげた僕。ヒナは不満そうだっけど、流石に下は自分で洗ってもらうしか無いよね。



(そんなの経験のない僕には刺激が強すぎるよ……)


これではお風呂に入る前にのぼせてしまう。僕は粗方体を洗うと、あそこをタオルで隠して前屈みになりながら湯船に逃げ込む。



(しかしどうしたんだろうヒナの奴、あんなに積極的に迫って来るなんて……)


そんな事を思っていると体を洗い終わったヒナが湯船に飛び込んでくる。そしてそのまま僕に抱きついてきたのだ。


ヒナの柔らかい胸が僕の顔に当たる。



「ブフッ、ひ、ひ、ヒナさん?!」


「う〜ん、優畄は暖かい、本当に暖かい…… 生きていて良かったね優畄……」


彼女が抱きしめる力が強まる。まるで2度と離したく無いと言わんばかりだ。



「ヒナ……」



ヒナの言葉と行動で僕は理解した。


ヒナは嬉しいのだ。僕と共にあの地獄から生き残れて、こうしていられ今が……


それまで緊張で張り詰めていた心が、この安らぎを得て緩んだのだろう。


そして彼女の中で改めて、僕という存在の大切さに気付いたのだ。



「ああ、こうやってヒナと一緒に居られるんだもの本当に生きていて良かった……」


「うん、いつまでも一緒だよ。ずうっと、ずうっと、一緒だよ!」




ーーー




お風呂から上がった僕たちはのぼせた頭を冷やすのも兼ねて、渓谷の奥にある滝を見に行く事にしたのだ。


最初は疲れもあったので寝れる時に寝ておこうと思っていたのだが、ヒナが滝を見に行きたいと言い出したのだ。


まあ少し疲れもあって正直眠いが、ヒナ様の頼みとあれば断るわけにはいかない。


それに行って帰って来ればお昼頃になるだろう。



僕たちは旅館の仲居さんに教えてもらった渓谷沿いの山道を歩いていく。この道はしっかり整備されているため、山道でも苦にならず進める。


その道を2km程歩いた先にその滝はあった。



滝は高さが5m程で、そんなに規模も大した事ないが見ていると滝からの涼しい風と共に心が休まる気がした。



「……なんかここに来て良かったね」


「うん、良かったね」


手を繋ぎながら滝を見てるとおもむろにヒナが僕の方に向き直り、そして頬を赤らめる。



「……ねえ優畄、お願いがあるの」


「ん、お願い?」


ヒナはしばし俯いてタメをつくってから僕に言った。



「優畄……キスして」


「……ヒナ」


「お願い、優畄」


「うん」



そして僕たちはキスをした。


僕にとっては初めてのキスだったけど、いつもしているかの様に自然に出来た。




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