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第28話初仕事完了



夜の闇と共に陸に上がってくるグールたち、いつもと違うのは足元に引かれた謎のケーブルか。


だがグールにそんなケーブルなぞ気にする様子もない、そして触れたそばから感電していくグールたち。


それまで海につかっていたのだ、塩分をふんだんに含んだ海水は良く電気が通る。次々と感電していきビクビクと痙攣しているグールたち。



前日の何やかんやで100匹程数を減らしたグール、まあそのほとんどがディープスレェトゥンに踏み潰されたものだが……


今回のビリビリ作戦(命名ヒナ)は絶大な効果を発揮した。


僕の仕事はビリビリから逃れたグールの止めを刺す事、そのためナタも店にあるだけ借りてきている。


電気ショックで弱ったグールに火炎瓶を投げ付ける動作を繰り返す。


電気ショックと火炎瓶のセットでも討ちもれたグールはナタでトドメを刺す。


入り江の港から距離をとってあるため漏れ出たのを始末するだけなら訳はなく、電気で弱っている事もあり動きも遅く、ただの的でしかない。


ヒナも電気でヨロヨロのグールを相棒のブルドーザーで容赦なく引き跳ね飛ばしていく。



「ヒナ、あまり前でに出過ぎるなよ」


「うん分かってる」


互いの手が届かない所にスッと手助けで入る、抜群のコンビネーションだ。



「昨日は散々追い回してくれたな、今日はその借りを返すぜ!」


瞬く間に数を減らしていくグール、その数が十数匹となったところで海が割れ奴が姿を表した。


電気網も過度の負荷によって止まってしまっている……



「グルウォオォォォォォン!!」


グールを大量に殺されたからか、昨晩逃した獲物に再び会えたことえの喜びか、ディープスレェトゥンは凄まじい咆哮をあげる。


そして僕を目指し走り出した。



ヒナは手筈通りにブルドーザーをゲート前のロータリーまで動かしある仕掛けを施す。


僕もディープスレェトゥンと付かず離れずの距離を保ちながらヒナの後を追う。



「ほらこっちだ、うどの大木野郎!」


「グガァア〜!!」


走る事に慣れていない巨体はスピードも出ず小回りも効かず、僕に追いつけない事で苛立った奴が悔しそうに雄叫びをあげた。


知能は低くてもプライドは高いディープスレェトゥンは近くにあった電柱を引き抜くとなりふり構わず振り回し迫ってくる。



僕は今、体をスピードと俊敏さに優れたチーターに変えて四足走行で逃げている。見た目は人面チーターといったなんとも形容し難いものだ……


今回は交わす事を前提にしており長時間行動を想定していないのだ。



それに何度でも言おう、見た目は二の次だ。



僕がディープスレェトゥンを引きつけている間に先回りしていたヒナは、ブルドーザーの後方にあらかじめ用意しておいたワイヤーを掛ける。



「こっちは準備万端だよ優畄、気を付けてね……」


一方僕の方は癇癪を起こして追いかけてくる奴を交わしながら、ヒナの待つゲート前のロータリーに急ぐ。


グールの方はビリビリ&火炎瓶作戦が功を奏し、千匹近くいた数も今は激減しており脅威ではなくなった。


僕はディープスレェトゥンにだけ集中し、なんとか目的地のゲート前のロータリーへ辿りついたのだ。



「ヒナ!」


合図と共にヒナがブルドーザーのエンジンを掛ける、そして僕を追ってディープスレェトゥンがロータリーの中央に来たタイミングでブルドーザーをスタートさせた。


ケーブルを引きながら走り出すブルドーザー。僕の方は奴の気を引き、ケーブルに巻き込まれない様に、縄跳びの要領でジャンプしながら奴の攻撃を交わす。


非常に集中力を要する作戦だがなんとかこなしている。


するとブルドーザーの引っ張るケーブルによって奴の足が絡め取られ、ディープスレェトゥンはその場にもんどりうって倒れてしまったのだ。



学習院能力のない単細胞は単純で助かる。


僕は上半身をゴリラに変化させると、すかさずナタを奴の巨大な首めがけて思いっきり振り下ろした。


だが硬いフジツボに弾かれてしまい、その下の皮膚には届かなかったのだ。



「グッ、なんて硬さだ!」


弾かれた僕のナタは刃が欠けて使い物にならなくなってしまう。



「グルルルルゥ……」


その程度の攻撃など気にする素振りも見せずに、足をワイヤーで巻かれ倒れたディープスレェトゥンが、両手を地面に付けて起きあがろうとする。


ここで奴に起き上がらせる訳には行かない。



切れないナタでも柔らかい目なら問題ないだろうと僕は、奴の正面にまわり込み勢いよくジャンプした。


そして一つしかない奴の巨大な眼玉にナタを叩き込んだのだ。


ゴム毬を殴った様な抵抗を感じたが、構わずそのまま叩き潰してやったぜ。




「ンギャアアァァァァ〜!!」


一つしか無い眼玉を潰されて苦しみ悶えるディープスレェトゥン。そして目を庇う様に手を動かし再びうつ伏せに倒れる。



その隙を逃さず、ヒナがブルドーザーのブレード部分で奴の腕の関節を狙い動きを封じていく。


いかに硬いディープスレェトゥンのフジツボ鎧とはいえ、ブルドーザーの馬力には意味を成さない。


ガリガリゴリゴリと抉り取られていく様はなんとも痛々しい。



(ひぇっ…… ヒナの奴、結構エゲツない攻め方をするな……)


満身創痍となったディープスレェトゥンにトドメを刺すべく僕は、体をマウンテンゴリラへと変化させると近くにあった道路標識を持ち上げる。


ゴリラは霊長類最強の腕力の持ち主、握力は500kg、背筋力は400kgと化け物並みの身体能力だ。



元は60kg程度の僕の体が4倍に膨れ上がる。


相変わらず元の体の数倍の質量や体積の出どこが気になるが、一先ず置いておく。


(本当に謎だよ……)



この道路標識は下がコンクリートで固めてある古いタイプのもので、殴り甲斐がありそうだ。


僕はその道路標識を振り被り、目を潰されて苦しむディープスレェトゥンの頭部、耳の後ろの三半規管と思われる場所を狙いすまし思いっきり振り下ろした。


ドゴ〜ン!と凄まじい音が響き渡る。


打撃ならば鎧のフジツボは関係なくダメージを与える事が出来る。それも三半規管を狙ったものだ、ディープスレェトゥンは軽い脳震盪を起こし動きが止まってしまった。



「これで終わりだ!」


僕は再び奴の正面に立つ。そしてコンクリートが砕けなくなった道路標識を奴の潰れた目に突き立て、直接脳を破壊してトドメを刺したのだ。




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