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第26話救世主ヒナ

よろしくお願いします。



ディープスレェトゥンの攻撃は単純にパンチや蹴りなどの肉弾戦だ。単純ながらもその巨体から繰り出される攻撃は桁違いの一言。



ズドーーーーン!!


奴が僕のいた位置を殴ると、屋根が拉げゲートが僻み大きく揺れる。幸いな事に僕は奴の攻撃をタイミングよく交わす事が出来ていた。


ディープスレェトゥンはその巨体ゆえスピードが遅く、交わす事なら今の僕でも可能だ。


だがその威力からくる衝撃波まではどうしようもない。交わしはしたが吹き飛ばされた僕は屋根の上から振り落とされそうになってしまう……



「グッ! な、なんて馬鹿げた……」


咄嗟にチンパンジーに変化させた片腕で、残った屋根の部分になんとか捕まり、ぶら下がっている状態の僕。


唯一助かった事といえば、奴が殴る際に下にいたグールを何匹か踏み殺してくれた事か。だが僕の危機にはなんら変わりがない。



ディープスレェトゥンが今度は僕を捕まえ様と、その手をズズイと伸ばしてくる。


だがそれと同時にグール共の後方が何やら騒がしくなり、騒めき立つ。



「優畄ォ……」


今誰かが僕を呼んだ気がしたが気のせいだろうか、そんな僕に無情にも奴の手が掛かり、そして……


奴は僕を掴むと、少しずつその拳に力を込めていく。そう奴は僕が苦しむ様を楽しんでいるのだ。



「グガァ!……」


キツく成ってくる圧力に悲鳴を上げる僕、その声を聞いた奴はなんとも嬉しそうにフジツボまみれの顔を歪ませる。



「優畄ォ〜!」


やっぱり僕を呼ぶ声が聞こえる。


奴に締め付けられながらも僕の頭に聞き覚えのある声が直に響く。それと同時にグール共を跳ね飛ばしながら爆音と共に中型のブルドーザーが現れたのだ。



「この野郎!優畄をいじめる奴は許さないぞ!」


「ヒナ!」



ディープスレェトゥンがブルドーザーの接近に気付いた時には遅かった。


ヒナはブルドーザーのブレードで、ディープスレェトゥンの足を上手いこと掬い上げて転ばせたのだ。


動きが遅い奴では、交わす事は無理だったのだろう。


奴が僕を責めるのに夢中になっていたのも幸いした様だ。それで周りへの注意がそれ、背後からのブルドーザーの接近に気付くのが遅れたのだ。


ヒナが無闇にブルドーザーのブレードで攻撃せずに、奴の足を掬い、転ばせる事だけに徹したのも事が上手く運んだ一因だ。



ドス〜ン!と勢いよく倒れたディープスレェトゥンは、僕を拘束していた拳の力を緩める。


僕がその拘束から抜け出すと、ヒナがすぐ側にブルドーザーを停止させた。


僕はすかさずブルドーザーの背面にしがみ付く、それを確認するとすかさずヒナがブルドーザーを発車させる。



まさに以心伝心の連携だ。



ヒナはハジからグールを跳ね飛ばしながらブルドーザーを爆進させて行く。このブルドーザーは足回りがホイルローダーだが安定性は抜群だ。



「ヒナ、こんなものどこで見つけたんだ?!」


「あの工場だよ!」


ブルドーザーの爆音がうるさいが、僕たちの心は繋がっている。これだけ近ければ言いたい事も伝わる。



空を見れば幾分か明るくなり山間に朝日が伺える。



「ヒナ、このまま朝が来るまで逃げ回るぞ!」


「おう!」


ヒナの操るブルドーザーは燃料も十分あり朝まで余裕で保ちそうだ。


立ち上がったディープスレェトゥンも動きが遅いためブルドーザーについて来れない。


このブルドーザーはホイルローダー製のため四速なら最高時速38kmで走れる。

ディープスレェトゥンは時速25km前後と距離さえ保っていれば大丈夫だろう。



寄ってくるグールたちもブルドーザーで跳ねられたり、僕が腕を熊の物にして殴ったりと散々だ。


ちょっと可哀想になるほどのやられっぷりに今までの鬱憤が晴れる思いだ。


上り坂も関係なくグングン登って行きグール達を引き離していく。



そして待ちに待ったお日様が昇ってくると同時にして、グールたちは海の方角へ一目散に去って行く。


ディープスレェトゥンも口惜しそうにこちらを見た後、海に帰っていった。


辺りにグールが居ないのを確認した後ブルドーザーを止めるサインをヒナに送る。ブルドーザーが停止すると、一目散にヒナが僕に抱き着いきた。



「……優畄! 優畄ォ、優畄ォ……」


よほど僕の事が心配だったのだろうか、ヒナは僕に抱き着いたまま離れようとしない。



「ヒナ…… よく頑張ったね」


ヒナの頭を撫でてあげながらそう言うと満面の笑顔を返してくれるヒナ。



「うん、わたし頑張ったよ! 優畄のために頑張ったんだよ!」


ヒナの抱きしめる力が強くなる。



「ああ、ヒナが居なかったら僕は生きていなかった…… 本当にありがとうなヒナ」


「……うん。生きてて良かった優畄」



朝日に照らされながら僕たちは、お互いの存在を確かめ合う様にいつまでも抱き合っていた。

ありがとうございました。

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