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第22話一時の安らぎ

よろしくお願いします。



最初の工場にはめぼしい物は無かった。なので50m程離れている2つ目の工場を見に行く。


幸いな事に2つ目の工事に入ってすぐの場所でナタ見つけた僕は、ゴルフクラブと交換することにした。


きっと邪魔な木の枝を払うための物だろう。



「おっ、これは使えそうだ」


「私も……これで頑張る!」


ヒナもどこから手に入れたのか、鉄パイプを持ち、ブンブン振り回す。案外様に成っているのが不思議だ。



「うん、2人で頑張ろう」


「うん!」


ヒナに戦わせるつもりは無いけど、その気持ちだけでも嬉しい。



2つ目の工場も缶詰を作るための工場で、めぼしい物は無かった。


そして最後の工場に向かおうと僕が何気に出口の扉を開けた時だった、あの家で見たグールの一体が、仲間から逸れてそこに居たのだ。



「!」


「ギピイィィィィィィ〜〜!!」


僕らを見つけたグールが歓喜とも取れる甲高い声を発した。


そのグールの行動を見て僕は咄嗟に動いていた。手に持つナタをなんの躊躇も無くグールの首目掛けて振り下ろしたのだ。

 

綺麗に斬れ飛ぶグールの首、そして僕はヒナの手を掴むと一目散に走り出した。



そして近くに建っていた納谷に飛び込むと、納谷の蔭に身を隠し外の様子を伺う。


ヒナがどうして逃げるのかと聞こうとするが、僕はその口を手で塞いだ。


口に人差し指を当て静かにのジェスチャーと共にグールの方を指で指し示す。状況を理解したヒナは、今度は自分の手で口を塞いだ。



納谷の隙間から先程グールを倒した場所を見ると、何処からともなく他のグールたちが集まって来る。


その数10数匹、そして悍ましくも首を刎ねられて死んだグールの肉に食らい付いて行く……



グールの厄介なところがこの叫びだ。


先程の甲高い叫びには仲間を呼ぶ効果があり、この叫びの効果範囲は半径30m四方にも及ぶ。


能力に目覚める際に同時に伝わる先祖の記憶、

それが功を奏し、仲間が集まる前にグールを倒し逃げるという判断が出来たのだ。


化け物とはいえはじめての殺生だった僕。緊急時の咄嗟の判断だったため正直あまりショックはない。


グールの見た目が化け物然としている事もショックが薄い一因だ。


息を殺して状況を伺っていると、死体を食べ飽きたのか散り散りに去っていくグールたち。



だがそのうちの一匹が何気なく僕らの居る納谷の方へやって来るのだ……


まだ近くに他のグールがいるため、今は戦う訳にはいかない。


僕たちに出来るのは、息を殺してグールが去るのを待つ事、それだけだ。


ドキドキと鼓動が高鳴る……



「グギルルル……ギグ………」



そのグールはしばらくの間納谷の近くを彷徨よていたが、こちらに気付く事なく何処かに去って行った。



「…… ふ〜、行ったな」


「行ったね……」


僕たちは辺りの様子を確かめ、グールがいないのを確認すると慎重に移動する事にした。



ポツポツと雨が降って来る……



この雨で足音が消せる、そして向かったのは村で1番の高台にある最後の工場だ。


ここは下の2つの工場とは違い木材を加工する為の工場だしく、戦いに役立ちそうな道具がありそうだ。



この工場の周辺にもグールが2〜3体程いたが、都合良くバラけていたのもあり、雨音に紛れて後ろから奇襲を仕掛けて始末する事に成功している。


グールの弱点はシンプルに頭だ。ゾンビ映画そのままの戦法が1番効果的なのだ。


僕の腕を変化させての力任せの一撃でみんな頭を跳ね飛ばしたのだが、そのせいでナタは使い物にならなく成ってしまった……



「ヒナ、疲れただろ?ここで休もうか」


「……うん、ムニャムニャ……」


よほど疲れたのだろう、ヒナは半分寝入っている



いつもの様に彼女を背中に背負い、休めそうな場所を探す僕。一階は危ないので積まれた材木の上にある屋根を支えている鉄筋の上で夜を明かす事にした。


ここならいざとなれば、積み重なった木材を崩し逃げる事もできる。


そして工場にあったロープで落ちない様に2人の体を鉄筋に縛って固定しておく。



近くにいたグールも排除したし、雨音でちょっとした音なら誤魔化せる今なら、少しは休めるだろうか。


雨音が僕らの心情を逆撫でするように響き渡る。今は休む時だ、休める時に休んでおこうと僕は目を閉じた。



ありがとうございました。

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