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ウチの魔王様が、すみません!  作者: ホマージュ
第二章 後を引く余韻
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閑話 第15.5話 盗賊の末路

夢を見たんです。

とても考えさせるような、意味のないような不思議な夢です。

「犬派?猫派?」

よく聞くこのフレーズのお決まりの質問。

夢でコレを私が聞いていたのは断然犬派の「犬は高貴な存在」と言う友人に対して。

そんな彼の答えなんて分かり切っていた筈なのに……

その夢の中の彼は予想外の衝撃的な答えを放ったのでした。

(あとがきに続く)

「おい、みつかったか!」

「いやダメだ…」

「そっちもか…」

「こっちもだー」

「くそ……」

7人の兵士が顔を見合わせため息をつく。

一呼吸を置き一人がモップを持ち出すとそれぞれモップやら箒やらを持ち始める。


そんな中、一人の兵士が端の方で動けずにいるようだった。

「おい、そんなとこで頭抱えていないで片づけを手伝えよ!うえっ……えー……コレは酷い」

「だってよ、こんなんどう上に説明すりゃいいんだよ。」

「そんなんしらねーよ、一人脱走しました。としか言えねーだろ。」

「それだけじゃねーだろ!見てみろよ!もう元の身体がどんな体格だったかすらわかんねーくらいになってんだぜ!

お前ら何とも思わないのかよ!!」

「ふぅ。喚いていても変わんねーだろ、何が起きたのかわかんねーけど。」

「こんなん異常だ……」

重苦しそうな鉄格子の嵌められた牢屋の中にそれぞれ、盗賊団だったモノが

ひとつ残らず真っ赤に染まり異臭を発生させている。

その上、盗賊団と共に収容された少年が一人行方をくらませているのである。



この盗賊団たちは国際指名手配をされている質の悪い盗賊団でオロラントからの移送を3日後に控えていた所だった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「くそっくそっくそ!」

アルブフレオは左手についた血を舐めながら宙を飛んでいる。


既にオロラントからは離れており、今は別の街の上空にいる。


「馬鹿にしやがって……」

捕まる前に金的を喰らい悶絶して、

気を失う前にマオは言っていた言葉をアルブフレオは聞き逃さなかった。


『おぉ!ホントに効いたぞ!』

『やっぱり、明日葉はすごいなぁ!』


あの金的はあのゴミクズみたいな”明日葉”ってヤツが吹き込んだことだ。

魔王候補同士の神聖な闘いに水を差しやがって……

あの人間、次見かけたらただじゃ置かない。


絶対にボコボコにすり潰して跡かたもなく消してやる……っ!!



「あ。まじかる~ツイントルネーッド!」



急に変な声が横から聞こえたかと思えば、風を纏ったアルブフレオの身体は一気に地面に叩き落された。


「ごあっ…!?」

え?横?


「あれ、魔物っぽくなーい。なんで飛んでんのー?」


結構な勢いで地面に叩きつけられた所為か、脳が揺れる。

立ち上がるのが困難だ。

飛んでいるときの自分は魔力で操作した超高速の風で守られている筈だというのにこのダメージは??


「まってまって、人間じゃないよねぇ~、…うん。まじかる~ソニック、ブ~~ム!」

気の抜けるような高い声で変な技名を叫んだかと思えば、

上方から飛んでくる魔力の塊はえげつないほど高純度且つ質量を持っていた。


「クソッふざけやがって……」


投げつけられた魔力はやがて地面に触れるや否や周囲の建物や地面を振動させ破壊する。

そしてその振動は地面に生えていた花でさえ細かく震えさせたかと思えば一瞬にして花を無に帰していた。


「威力もフザケテやがる……っ」


低空ながらも風を纏い一気に加速しその場を切り抜ける。

街を抜け、森の中に逃げ込む直前、不意打ちとはいえ自分をこうも一方的に追い詰めた相手を睨む。


ソイツは多分最初の位置から全く動いてはいなかったものの、

広い攻撃範囲と銃弾爆撃のような連射性能、威力全てが常識を超える脅威そのものだった。


大きなハットに水色の髪。

右手にはハート型にくり抜いた杖を持ち、何故か箒に座っていた。

ふざけたようなフリフリの白にピンクと赤色の入ったドレス。


ヤツの眼を見た瞬間。


ドクンッ。


心臓が高鳴る。

鼓動が一瞬で早くなるのを、腹の奥からのモヤモヤを、

全身の毛が逆立つような

色んな感覚を一度に刺激されたような気分になった。


「なん、なんだ。アイツは!!」


それを見透かしてか、ヤツの左手が親指と人差し指、そして小指を立て決めポーズをとる。

本能的にヤツの動きに全集中力が注がれる。

唇の動きが鮮明に伝わる


「ま・ほ・う・び・しょ・う・じょ・る・い?」



なんなんだアイツは………


久しぶりの強者…

今の自分では逆立ちしても太刀打ちできない。


この距離でも

心臓ははちきれんばかりに鼓動を早め、汗が噴き出る。

絶望的な力の差がある筈なのに不思議と口角はゆっくりと上がっていった。


「おもしれぇ……」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「犬派?猫派?」

その問いに、僕の友人は答えました。

「うーん。犬よりの牛派。」

「え!?牛って犬なの?いや、犬よりなの??」

確かに牛が、犬と猫、どちらに似ているかと言われれば犬っぽい気がしたのですが、

目が覚めてからも少し考え込んだ私は『牛』を調べました。

結果。

牛は、牛でした。

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