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ウチの魔王様が、すみません!  作者: ホマージュ
第一章 王国は割と元気
13/30

第十二話 馬車は走っていく

うひゃー!


なんとかできたできた!


今週中の更新。


ここで一旦「ウ魔すみ」はペース落とします。


もう既に続きはある程度書いてありますので

また気分がのるかなんかしたらペース上がるかもしれません。

アリシアさんのもぼちぼち進めていかないとなぁ。。。


それでは、どうぞ宜しくお願いします。


「あたらぬぞ!痛い目にあわせてくれるのではなかったのか?」


天井を蹴り壁へ、

壁から床へ縦横無尽に跳び回り確実にアルブフレオへ距離を詰めていく。


マオがいた場所へ一瞬遅れて突風が吹き、

壁や天井、床を抉る。


「くそっくそっくそっ!ちょこまかと……!」


マオ目掛けてアルブフレオが発生させた風は全て躱され、マオが間合いに入った瞬間。


アルブフレオは笑った。


「バカめ」


アルブフレオを中心に真円を描くように空気が固まる。


「二度は喰らわぬぞ!」


マオはすぐさま後ろに跳ぶが、

左足の先が固まり色の変化した空気に触れた。


「う゛っ……」

靴は弾け、爪先には激痛が走る。


ただこれは一瞬だ、右足で踏ん張り再びアルブフレオに向かって跳ぶ。


「くそっもう一度!」


「お前が馬鹿にした明日葉の力を思い知るがいい!!」


アルブフレオが辺りの空気をかき集め、マオに向けて飛ばす。

それを姿勢を下げ躱し、マオの突進がアルブフレオの股下を勢いよくすり抜けていく



「っっーー!!??」



マオは床にダイブし、身を(よじ)り体勢を立て直し、

アルブフレオにむけてファイティングポーズ。


見れば体当たりしたわけでもないのに、

アルブフレオは悶絶し丸まって床に転がっていた。



「おぉ!ホントに効いたぞ!」



明日葉に言われた通り、

突進にみせかけ、股下に潜り込む。

その時に膝を直角に曲げておいた。



ただそれだけであるのに、なかなかに強かったアルブフレオは倒れて起き上がろうとしない。

こないだは本気でパンチしても全然喰らってないかのように起き上がってきたのに。



「やっぱり、明日葉はすごいなぁ!」



アルブフレオを倒した今、

「すぐ明日葉を守らないと……!」


マオは全速力で明日葉の元へ向かった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




――明日葉豊が条件を満たしました――



霞む視界、

揺れる世界。

条件?

なんだそれは。


頭の中に無機質な声が響く。


うるさい。

それどころじゃないんだ、オリビアさんを助けなければ……

気持ち悪い、吐き気がする。

身体が痛い。

極度の眠気が襲ってくるかのような感覚に、必死に抗う。



「まだ……俺だって……」

瞼が重い、膝に力が入らない。

机にもたれながらなんとか立ち上がる。


が、

膝から崩れ

気づけば頬を地面につけ倒れているではないか。


「おか、しいな。さっき立った筈なのに。」

明日葉は微かに動く口を動かす。



「ああん?もう終わりかぁ?……まぁ、あっちのガキもアルブフレオが片付けるだろうし、そろそろ撤収に向けて動くか。」


行かせない。

マオが来るまで、時間を稼がなければ。

真正直なマオにはアルブフレオに対する「成功さえすれば一撃必殺の猫だまし」を伝授してある。

まぁそれがなくても、マオは言った。

『今度は負けぬ』

彼女を彼女の力を信じているからこそ。


俺だって、負けていられない。



はなっからの援軍頼みの負け戦。

ここで張れなきゃ、男が廃る。


身体中が悲鳴をあげる、

脳が動かずに休めと叫ぶ。


知ったことか。


「ぁ……あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

精一杯の声を張り上げ立ち上がる。

腕を引かれ涙を落とす。


あぁ、そうだ。俺を見ろ、


「……に、げるな、俺を……見ろ!!」


希望を、


「うるっせぇな。殴られ足りねぇのかよ」

不機嫌なハゲの奥に、


煌々と輝く希望を見つけたから。


「マオ、やっちまえ!」

「うぬっ!」


ゴドスの背後からマオの強烈な踵おとしが炸裂する。

ゴドスがぐるりと目を回すと、震えていた足が崩れた。

ダメだ。


視界が暗転し、その場に倒れこんだ。











気がつけば、









マオの膝枕。



オリビアさんとマオが心配そうな視線を落とす。





え。



「大丈夫か?」

「良かった、目を覚ました……」

「え?」


「流石明日葉!(ぬし)のお陰でアブブフリオもすぐに沈黙しおったわ!」


涙を流すオリビアの滴が横たわる明日葉の頬に落ちる。

頬を伝う涙は暖色の光を反射しとても綺麗だ。


「よかっ……よかった………」

普段は凛として艶のある態度のオリビア。



いや、本当に死ななくてよかった!

これはもう、オリビアさん俺に惚れてるだろ!!


「オリビアさん、俺と……」

いいかけた、その時だった。




「あ゛ーーーーーーーーーーーーー!!!!!」





鼓膜がビリビリと震えるほどの大絶叫。



今のいままで気がつかなかったが

なにやら周りが騒がしい。

鎧をきた正規の兵士が走り回ったりなにやら物品を確認しているではないか。


何とか身体が動くようになっており、

オリビアさんとマオの助けを得て立ち上がる。


どうやら先程の絶叫はロビーの方からのようだ。


ギルマスががっくりと肩を落とし、

orzしている。

理由は……




あ。





火を見るよりも明らかだった。

ギルマスは深夜にマオが割った壺の残骸を前に震えている。


ギルマスは涙を流しながらも、衛兵を一人捕まえ小突く。

「おい!賊共はワシが言い値で買い取る!!」

「そ、そうは仰られましても、国際手配犯ですし。それは……」


「あいつらはワシが、ワシの大事な!大事な壺を!!絶対にこの手でぶっ殺す!!!死んだ方がマシだったと、泣いて詫びるほどに」


ヤバイな、これは。

不味い流れである。



しかし、

マオはそんなギルマスの背中をちょいちょいと突っつくと



「それ、壊したのはわしじゃよ?」



真犯人があっさりと自白した。


「へ?」


「は?」

流石のギルマスも面食らっているようだ。


身体は……動く!


明日葉はすかさずマオを小脇に抱え、走り去る。

外は既に明るく、日が出ていた。


どんだけ気を失ってたんだ、俺は。



「あ、ちょ!待て!アイツら捕まえろ!!」

ギルマスは頭の整理がつかずも取り敢えず衛兵に命令を下す。


言われるがまま衛兵達は明日葉達を追いかけた。





「何とか、撒けたか?」

宴でBarで荷物を回収し、

街の中を探し回る衛兵に見つからぬように顔をフードで隠しながら馬車で門に向かう。



あああぁ……

オリビアさんとやっといい感じになれていたのに。

何も思い通りに行かない。

そんな明日葉の横でかくれんぼ気分のマオは上機嫌。


オロラントの門が見えてきた頃、

明日葉は自分の考えの甘さに気付かされた。


「あ、やべ!」

「どうしたのじゃ?」

門の衛兵にギルドのローブを着た職員が話をしている最中なのである。


「このままだと門が閉められる……!」

「なるほど! 門、壊すか?」


「やめてくれ!これ以上罪を増やさないでくれ!」

「?」

門を壊せばきっとギルドだけでなく、

オロラントの街全体を敵にまわすことになる。



「あー!あれだ!あの馬車だ!!」

後方から聞こえるのは荒々しい馬の蹄の音とギルマスの声。

そしてギルマスに続く街の警備隊。


「うげ!ギルマス!」

「うはは、嘘付きハゲが向かってくる」

相変わらずマオは何が面白いのか、ケラケラと笑いながら上機嫌である。



「門を閉めろーーー!」

ギルマスの大声。


門まで距離はあるが、声は届いたようで

前方の門が閉じ始める。


徐々に閉まっていく門。



流石に無理か。


馬を止めようかと思ったその時だった。



再び門が開き始めた。



何かアクシデントでも起きたのだろうか、


なんにせよ、ありがたい!!


このまま、逃げ切れる!!!


馬に鞭をうち、勢いをあげる。


そしてまた門が閉まり始める。

この勢いならばこの馬車が出た直後に閉まるかんじだ!!



「いっけぇぇぇぇぇ!!」

手綱を掴む手についつい力が入る。


「何をしている!門をしめろーー!!」

ギルマスの叫びももう遅い。

一度開き始めた瞬間にまた叫んでいたら危なかっただろうに


門を抜ける一瞬だった。


フードの職員はオリビアさんともう一人の受付嬢だった。

すぐにわかった。

オリビアさんが、直ぐに俺達を逃がす手配をしてくれたのだ。

なんて出来た女……。

きっと、きっと必ず俺のモノにする。



「また……必ず会いに行きます!」


すれ違い様にオリビアさんと視線を合わせて。


「えぇ」




「ゆるさん、ゆるさんぞぉぉぉぉ!!!!」

とてつもない怒号が後ろから飛んでくる。


それはきっと壺の事だけではないのか


明日葉はその気迫に圧される。






(だぁぁぁ、ウチの魔王様がすみません!)






恐怖につい何度も馬に鞭をうってしまう。

……馬が不憫だ。



「そのときは、どうか私を連れていって下さいね……」

オリビアはそっと、小さくなっていく馬車に向かって呟いた。




「マオ、ギルドでのこと。

助けてくれてありがとな。やっぱお前は強いな」

マオの頭を撫でる。


「何を言う。明日葉の言う通りしたらアブブフリオは一発じゃったぞ?明日葉も流石じゃ!」

照れたように

お互いに微笑み、笑い合う。



「よーし!王都に着いたらまたあのパンを食べるか!!」


「本当かぁぁ!よし!急ぐぞ!明日葉ぁ!」

マオが横から手綱をぐいぐいと引っ張る。


「こらこら、馬が驚いてるだろ。」


まったく、

最初はどうなることかと思ったが、


案外なんとかなっている。


勇者候補と、

魔王候補の異世界生活



きっと、もっと大変な事がこれから先もあるんだろうなぁ。。。




「明日葉!ハラへった!」

「マオはいつもそれだな」




でもまぁ、なんとかなるだろ。




王都に向かって馬車は走っていく


今回はいままで話の中でも比較的長かったかもしれん。

これからどうなるのでしょうか。


明日葉は勇者候補であることを隠し、

マオは魔王候補として他の魔王候補を蹴落とし、勇者を倒さなければならない。


あとお金も引き続き稼いでいかなきゃですね!


その上これから帰る王都で王女は王殺害の真相を追っています。

政務や雑務ばっかりやっててたどり着けるのでしょうか?


色々な思惑が交錯し、

ちょっとだけ大変になってる気がします。



でも、一応はこんなかんじで


『 俺達の冒険は始まったばかりだぜ!! 』


めでたしめでたし。





みたいなかんじするけど、

まだまだ続くよ!

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