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ウチの魔王様が、すみません!  作者: ホマージュ
第一章 王国は割と元気
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第十一話 勇者候補は強くなりたい

あれ。週1ペース更新の筈だったのに…

先週は何故か寝落ちすることが多く投稿出来ずでした。


今週中にもう一回更新します。


「お主は、アブブルリオ!」



マオが少年に向かい叫ぶ。


「アルブフレオだっ!!」



ほぅ。

コイツがマオの言っていたアブブフリオ、もといアルブフレオ。もう一人の魔王候補か。

ちゃっかり名前を間違えられている、まぁまぁ惜しい、50点。


「おい、アルブフレオ。知り合いか?」

スキンヘッドの大男はアルブフレオに問う。


「ぁ?お前も一度見ただろ。お前がこないだ逃がした俺のペットだ」

「昨日のボロボロの……確かに特別製だなぁ。しかも上物だ。売り飛ばしたらなかなかな値がつきそうじゃねぇかぁ」


「ゴドス……俺のペットだっつっただろ?舐めてんの?殺すよ?」

「っあ、あぁすまん。ついクセでな……」

アルブフレオの一睨みでスキンヘッドの大男、ゴドスは怯む。



なるほど力関係はおおよそ理解できた。



利害関係はあるが、仲がそこまでいいわけではないらしい。


「あしたば!」


アルブフレオとの間に入り、マオがアルブフレオと対峙する。



「へぇ、その人間が“あしたば“、ねぇ。見るからに馬鹿みたいな面してら」

「あしたばを、馬鹿にするな!」


マオが踏み込みアルブフレオに殴りかかる。

それを難なく避けながら距離を取るアルブフレオ。

あっという間に二人は離れて行ってしまった。


(くそっ!このハゲマッチョを俺がどうにかしないといけないのか…)


「えっと、明日葉とやら?お前はどうしてここに来たんだ?え?」

ゴドスは再びオリビアを抱き寄せると完全に舐め腐ったように舌を出す。



くっそ。舐めやがって……

でも勝てる算段はつかない。

ゴドスは多分、というか確実に俺よりもステータスは上だ。

ここで一番いい受け答えは、なんだ?

なんて考えていたが、

ゴドスがオリビアの胸に手をかけた瞬間、頭に血がのぼる。


「手を離せ!ハゲだるま!!俺のオリビアさんを助けに来たに決まってんだろ。」


(……ん?俺声に出したのか?今。)


でも、もしもこれでこのゴドスを倒せればオリビアさんはきっと俺に惚れる。筈。……多分。


「アッハッハッハ。明日葉、だったよな。面白いな。……俺に勝てると思ってんのか?」


(全くもって思いません!)


だけど、やるしかないじゃないか。

ゴドスが嫌らしい手つきで後ろ手で縛られ抵抗の出来ないオリビアの豊満な胸部を撫でる。

くそ、羨ましい……


走り出し、ゴドスに殴りかかる。


「うおぉぉぉぉお!!」


瞬間、

宙に浮き、

前に行こうとする意思とは逆に

壁への推進力が勝る。


え?


腹部にゴドスの太い脚が入っていた。

見えなかった。

肋骨が、筋肉が、内臓が悲鳴をあげる。


壁に叩きつけられ、一気に痛みが押し寄せる


「ぉう゛ぇっ……」


嘔吐した。

何故、今、地面を見ているのか。

ゴドスに殴りに行った筈なのに。


「明日葉さん!」


助けようとしたオリビアさんに心配されて、


……カッコわりいな。


「明日葉さん、ダメ!いいから、逃げて!!」

オリビアが叫ぶ。


「アハアハアハアハァッハッハ!逃げてもいいぜ?明日葉ぁ」

ゴドスが大声で笑う。


逃げる?


それは、負けて倒れるよりも


ずっと

ずっと、


「……カッコ悪いな。」



ステータスは見ない。

どれだけのダメージを喰らったのか。

そんなの見てもただ絶望するだけだ。


いやだ。

負けたくない。


昨日ボコボコにされたマオを見て

ただただ焦った。

それはマオよりも強い存在に怯えることになるからじゃない。


「失いたくなかったからだ!!」


歯を食い縛り立ち上がる。

クラクラする。

ゴドスが動く。


「なぁにが失いたくなかったからだよ、バァーカ」

ゴドスの拳は俺の顔を捉えようとしている。


よく見ろ。

目を閉じるな。

ゴドスの右手、拳、腰の捻り、目線の先。

腿が熱くなる。


よけれるか?

見切れ。

スピードは明らかに劣るが、

この舐め腐ったゴドスの攻撃を。


熱くなった腿の力を逃がし少し転ぶように体勢を崩す。


ゴドスの右腕は明日葉の頭上で空を切った。

今度は反応出来た!


あくまでも同じ人間の大人なんだ。

ステータスが低いとはいえ、この世界に来て特に自分の力が弱くなっただとか、

そう言う感じはしない。


(だったら…っ!)


拳を握りしめ、空振りしたゴドスの顎、

目掛けてうちこむ。


体重移動で足に力を入れ、腰を捻りながら腕を振り抜く。


顎に上手く入れば一発で脳を揺らし

戦闘不能に出来る、それを狙って。


勢いをつけて振り抜いたせいか、腰に負担が掛かり軋む。

二歩下がり相手を見据える。


ゴドスは顎に入った一撃で平衡感覚を鈍らせ、壁に体重を預ける。

「思ったよりも、なかなかいい度胸してんじゃねぇか……。本当は殺しなんてしたくなかったが、やるしかねぇじゃねえか。」

そう言うゴドスの目は明日葉を見ていなかった。


「これでどうだよ。あぁ?」

壁に飾られていた鎧の持っていた槍を引っこ抜くと手足を縛られうごけず涙ぐむオリビアの首もとに刃を突きつける。

切っ先が首に薄い切り傷をつけ、白い肌に赤い血が流れる。


「くそ。きったねぇ」


「ハハハ!知らねぇよ。俺はめんどくせぇ事は嫌いなんだ。この女を傷物にされたくなければ大人しく俺のサンドバッグになってな!!」


ゴドスは明日葉の腹部を蹴りあげる。


「ご…………」


「カハハッ!喧嘩はこう、一方的でなくちゃな。」


髪の毛を捕まれ、先程の蹴りに悶絶し震える。

オリビアさんは涙を流しながら言葉に出来ず明日葉を見つめる


それに明日葉は精一杯の微笑みで応える。


「あれぇ?随分と余裕じゃんかよ。」


ゴドスは髪の毛を離し、明日葉を床に叩きつけ頭を踏みつける。


「さっきまでの威勢はどうしたぁ?ハハ!」


頭を踏みつけられ、意識が薄れる。

景色が霞む。


視界の端でオリビアが泣き叫ぶ。


(あーあ、泣いてる顔も綺麗だな……)


出来る事ならば、勝ちたかった。

守りたかった…

強く……なりたい。


(俺、カッコ悪いな…)

(一番しんどい奴はマオが戦ってくれているのに…)


いいのか?これで?


視界がぼやけると共に脳に直接語りかけてくるような無機質な声が聞こえた。



――明日葉豊が条件を満たしました――





明日葉さんは強くなりたいようです。

それもそのはず。

ステータス自体はゴミクズなのでレベル上げを頑張るしかないですね。

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