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ボルシチ

エヴァの初めての人間ぽい言葉に


「そう」


母ちゃんは安堵した表情で返事をする。


「でも言えないなら言わなくていいわ、なんでこんなことに?

あなた、それなりの貴族よね?

正直、びっくりしすぎて理解が追い付いてないの」


そりゃそうだよね。

僕の部屋、ぼろぼろになったんだもん、、。

修理代を考えるだけでもアタマが痛いだろう。

『この娘に弁償してもらえ、実家に連絡だ。

どんな事情でもきっちりしないとな。』

まあ、、そうなんだろうけど、、。


「ふぅ、まぁいいわ」

と母ちゃんが嘆息する。



「ケン、あなたは今日リビングで寝なさい。

エヴァちゃんは私と一緒に寝ましょう」


そうだね、それがいいかな。



「了承、、」


複雑そうな声色だが、今晩はこうするしかないだろう。


親父が帰宅後、部屋を見るなり、顔面蒼白になり、エヴァを見て「話せないならいい、話したくなるまで待つから」とやさしく語りかけ、みな疲れたのか早々に眠りについた。



翌朝、リビングのソファで寝ていた僕は人の気配と朝食の匂いで目覚めた。

そこには台所でエヴァが制服にエプロンという姿で母ちゃんの家事を手伝っているという見慣れぬ光景があった。


「おはよう、、」


「ん、、」


ぎこちないがエヴァと朝の挨拶をかわす。


「あんた、今起きたの?

早く顔を洗ってきなさい」


「わかった、、」


「いつっ、、」


身体の節々が痛い。

ソファで寝たからなのか、屋根裏から落ちたからかなのか、トレーニングによる筋肉痛なのか。

思い当たる節だらけだ。



洗顔し、皆で朝食を食べる。

エヴァがいるから今日は5人だ。

「「「「「いただきます」」」」」


今日のご飯には見慣れない野菜スープがある、我が家ではあまり出ない感じの。

なんだろ?

赤い。

トマトの入ってるぽいけど、、。


「「「「美味しい」」」」


「、、、良かった」

え、このスープ、エヴァが作ったの?


「エヴァちゃん、これいいわね。

保管してた野菜の余りでこんなに美味しいのが出来るなんて!」


「うむ、ぽかぽかと身体の芯から目覚めるようだ」


「おかわりー!」


エヴァ特製スープはうちの家族の胃袋をガッチリ包んだ。

『いわゆるボルシチ風スープだな、美味い』

リスク、お前もか。

まあ僕もだけど。みんな笑顔だ。


しかしすぐにみんなギョッとする。


、、エヴァが号泣していた。

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