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第11話 歩兵機乗り、最初からやり直しました

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 また減ってた、それも中々の減り幅だ。まぁそれはいいとして。


 今更なんだけどな、ダイって自分の歩兵機の事……てか歩兵機そのものの事を何も知らないんだ。本当に今更なんだけどな。


 ダイの知ってる事と言ったら、自分の身体を使って歩兵機を操縦する事と、あとは武器にフックランチャーとレーザーCIWSがあるって事だけだ。


 馬鹿野郎、だから外れたの悲劇とかが起こったんだろ。


 どうすんだよ、もう波動砲が無くなっちまったぞ。あれ無しでこの先やっていけるのかよ、ただでさえ怪獣とか頭無しとかに襲われてるってのによぉ。


 そんな訳でな、ダイは今モニターからこの歩兵機の機能やら搭載されている機器やら、あとコンピュータ内部にあるデータベースとかを手当たり次第調べているんだ。


 基本的にゲームとかでも説明書とか読まず手探りで操作方法を探るような奴だから、こんなちまちました事は大の苦手で一向に進まないけどな。ダイだけに大の苦手でな。


 でな、まずはこの歩兵機そのものの情報から探り始めてみたんだがな、そしたらもうビックリ仰天、のっけから信じ難い事実が表示されてダイはしばしばフリーズしたよ。


 そりゃもう、まさかの衝撃の事実がそこにあったんだ。


「SR-7D3/MPM.η………………イングリッド?」


 イングリッド、それがこの歩兵機の名前だった。


 おいおい、ダオスロードはどこへ行った? 最後のドしか合ってねぇーじゃんか。


 ふざけんなよ、詐欺じゃねぇーか。いやな、別にただ名前が違ってましたってだけなら構わんよ。だがこれはダメだ、これには苦言を呈すべき理由が2つある。


 まず1つ目は眼帯野郎。あいつはダイの歩兵機がダオスロードだと思ったからハヤセまで誘拐してからダイを呼び出してバトったんだ。それも割と壮絶にバトったし。


 それがダオスロードじゃ無いなら眼帯野郎の件(くだり)どうなる? あの一戦に意味はあったのか? てかバカなのか!?


 それに2つ目はあの美人さん、ダオスロードの名前を出した途端にブチ切れたけど実はダオスロードじゃなくてイングリッドでした、じゃ絶対に許してくれないだろ。どうすんだよ、無駄に火種を蒔いただけじゃんか。


 それもこれもダイが最初から調べておかないから。ただでさえ歩兵機とかかなりアブい物に手を出したんだからもう少し慎重にいこうぜ。横着な事をして痛い目にあうとか……ああ、それこいつの平常運転だったな。


 しかしそうなるとダオスロードってなんだって話だ。眼帯野郎然り、美人さん然り、どちらもダオスロードと言う単語に敏感な反応を示していた。それも過剰なまでに。


 これにはダイとしても無視出来ない事案だ。知らないし分からないで済ます訳にはいかない。何か重大な意味を待つに違いないからだ、ダオスロードと言うものは。


「……保留にしよ」


 早ぇーよ! もうちょっと考えろや!


 まぁでも、考えたところで分かりゃしないし。即保留は正解かもだな。


 てな訳で切り替えて行くけど、このダオスロード改めイングリッドを調べてたら色々分かった。こいつはドイツ製の最新モデルで色々な国に輸出されている。つまり歩兵機は世界の表面下で既に実用化されてたって事か。


 道理で美人さんとポンコツが当たり前の如く歩兵機に乗ってた訳だよ。表面下に留めとかないで表面化しろよ。


 ついで言うと世界にシェアされてる時点で確定はしたんだが、この地下フロアに同じイングリッドが何故かあった辺りからも薄々勘付いてはいたんよ。


「この歩兵機、量産型だよなぁー」


 量産型に乗る主人公、ちょっとテンション下がるなぁ。今思うと美人さんとポンコツさんが乗ってた白忍者、あれ細身のスレンダーになってたけど、あれも同じイングリッドだよな。はは、普通に量産されてらぁ。


 一応波動砲とか搭載した特殊なやつみたいだけど、それも今となっては昔の話になっちまった。つまりただの量産型だぜ、わぁーい……。


 だが、量産型を侮るなかれ。調べてる内にこの歩兵機には量産型とは思えない充実した機能が幾つも備わっていたんだ。


 狙撃用のスコープモード、これ使うとかなり遠くまで見渡せる。他にジャミング、自身以外の周囲100m圏内にある電子機器の機能を阻害する。範囲は狭い方だが効果は中々、ミサイルとかも全然怖くない。


 ただな、今一番必要だと思うのは外部との連絡手段だったんだが、その辺は全く使えなかった。


 まずネットワーク、一応使えるみたいなんだが地下にいるせいかアンテナが立ってないし全く使えない。それから無線通信とかGPSとかも内蔵されてるのにどれも使えないと来た、地下施設だからってここまでの事になるか?


 ついでに言うと使えないものは他にもあった。


 レーダー探知とか熱源探知とか、その辺も全てエラー表示で役に立たないと来た。索敵が使えないんじゃ敵との遭遇は出たとこ勝負になるぞ。てかミノフスキー粒子でも散布されているのか、この施設は。


 まぁそれでも使えるものはたくさんあったし、一番うれしかったのは機体の換装システムだな。腕や脚とか頭は簡単に外れるようになっててな、そして簡単に取り付けられるようになっている。胴体は無理だが外装だけなら外して交換も簡単に出来た。


 ここのイングリッドからパーツ交換してメタリックグレーにお色直ししたから新品も同然となれたのもこの機能のお陰だ。いや本当にこれは助かったな。


 そうそう、助かった事と言えばもう一つ、偶然なんだが食堂っぽい場所を見つけ出したんよ。気付いてないかもしれないけどな、ダイがここに来る前はあの美人さん達に呼び出されたところだったんだが、その時って実は昼飯時でな。ダイ、飯食ってねぇんだよ。


 イングリッドの機能を調べてカレンダーとか時計とかの機能も見つけ出したけど、そしたらあの美人さんにやられてから丸1日も経過していたんだわ。


 そんな訳でダイはもう空腹の限界でな、イングリッドから下りて厨房の方へ駆け出したんだが当然人はいなかった。厨房は人がいた形跡はあったものの、やはり忽然と姿を消した様子で誰一人としていないし料理も出してもらえない。故にダイ自ら厨房の冷蔵庫を漁って食い物を探した。殆ど腐ってたけどな。


 人がいなくなって長いとは思ってたけど、冷蔵庫の中の食い物も腐る程だったか。まぁ多少の予想はしてたが、それでも色々漁った結果何とか食えそうな保存食の缶詰めと飲料水をありったけ見つけ出した。


 これで今の空腹は凌げたよ。ただこの量だとなるべく節約して2ヶ月が限度ってところだった。


 言い換えるならリミットは2ヶ月、その間に新たな食糧を見つけ出すかこの施設を脱出しなけりゃならないって事だ。取り敢えずこの食糧は数食分を所持して残りはこの食堂に置いておく。持ち運べる量には限りがあるからな。


 それからイングリッドの調査も一通り調べて、漸く大事な事に気が付きやがった。


「……武器が無い」


 そうだよ、波動砲が無くなった今のイングリッドに使える武器はフックランチャーとレーザーCIWSだけだ。と言うかそれ武器じゃねぇからな。武器の内にはいらねぇーからな。


 で、それに気付いたダイはもう一度あの武器庫に戻ってきた。なんにしても武器は必要だ、またあの頭無しが現れるとも限らないし。


 それでまた分かった事なんだけどな、その武器庫に頭無しの残骸がちらほらしてるのを見てダイはゾッとしたんよ。だってさぁ、頭無しも歩兵機なら人が乗ってる筈だし。もしそうなら殺したよな、マジで。


 もうそれを知ったダイは発狂寸前だったな。仕方ないと言えばそうだ、まだ16歳の臆病な小僧が人を殺したと思い知ればその罪の重さに押し潰されかねないからな。例え向こうから襲ってきたとしても、ダイがその手にかけたって事実は罪悪としてのしかかるものだ。


 が、結論から言うとそれは杞憂だった。


 何でかっていうと頭無しは無人機だったからだ。恐る恐る、と言うかもうビビりまくりで頭無しの残骸を調べたんだけどな、この頭無しに人は乗っていなかった。と言うより人が乗るコックピットらしいところが備わって無かったんだ。


 完全なまでの無人機、ダイを襲ってきたのはそんな歩兵機だった。


「……あれ? そう言えばこいつら、名前が出てない?」


 ん? 名前? どういうことだ?


 俺の疑問を他所に、ダイは武器庫の武器を物色した。いや、だから名前ってなんだ……そう言う事か。


 ハハハ、ダイに遅れを取られたのは初めてだな。


 後から気付いたがイングリッドの目で見た物はコックピット前面のディスプレイにある枠の中に映し出されるんだが、それに映ると文字なら自動翻訳したり武器とか物だったら名称が出たりする。実際あの外れたの悲劇を引き起こした[2A58 125mm滑腔砲]もちゃんと名前が出てきている。


 これもイングリッドに備わっている機能の1つで、スキャニングと言うそうだ。イングリッドの目で見てスキャンし、情報をデータベースから照らし合わせて照合し、そして引き出す事ができる。


 なのにこの頭無しは名前とかが全く出てこない。今は残骸だが、確か残骸になる前も出ていなかった。美人さんとポンコツさんの白忍者は、ダイが気付いてなかっただけでちゃんとイングリッド・ライトモデルと出ていたしな。


「名前が出るって事は、イングリッドが知っているから……スキャニングだ。イングリッドのスキャニングでデータベースにある情報から導き出しているから名前が出たんだ。なら、頭無しはイングリッドのデータベースに無いって事じゃ……そんな事ってあるのか?」


 ダイの言う通りだ。イングリッドは最新モデルの歩兵機、大体の情報は備わっている筈だ。なのにその情報の中にない未知なるものだとしたら、何でそんなものがここにあったのかが問題になる。


 人がいた筈なのに忽然と姿を消したような地下施設、そこに当然のようにいるデータには無い謎の無人機、そして何故か突然経緯も過程も分からないまま来てしまったのか連れて来られたかのダイ。まるで何もかもが示し合わせたように出来ている、それも不気味なくらいにな。


 初めからこの施設は何かおかしいと思っていたが、頭無しの事を踏まえると益々異常である事が浮き彫りになってくる。これは予想以上にヤバいかもしれないな。


「……逃げよう。直ぐにでもここから逃げないと。でも上には怪獣がいるし、別ルートを探さないといけないなぁ」


 随分と腰の引けた選択だが間違っちゃいないだろうな。俺だってそうする。


 そうなるとこの地下4階を攻略して別ルートを探さないといけない。幸いフロア毎にガラス地図があるし、それを記録して繋げていけばここの全体図も見えてくるだろう。地道だがそうするしか無い。


 さて、じゃあまずは武器だが今度は武器の詳細な情報をスキャニングして詳しく調べて選ぶ。外れたの悲劇とかはもうごめんだ。


 一応その悲劇を起こした滑腔砲も調べてみたけど、あれって歩兵機が使うには銃架に固定するのが前提だったんだと。マジか……。


 それで今度は手頃で無難なやつを選んだ。


 [AKG201 37mmアサルトライフル]


 歩兵機用の自動小銃の中で37mm口径は標準的な威力、装弾数30発で高い速射性と連射性が売りのアサルトライフルだ。試し撃ちしてみたが片手で撃ち続けても肩が外れる様子はなかったから即決した。これを右の背中にマウントしておく。


 反対に左の背中にはライフルの弾倉を4つ持てるマウントラックがあったんでそれを装備した。先行きが見えない以上、持久戦は覚悟しておかないといけないとダイは考えたからだ。


 イングリッドの武装は背中の右側と左側に1つずつ、腰の後ろに1つの計3つを懸架できる。最後に何か装備しようと考えていたが、先に携行武器を見つけたんでそちらを選んでおく。


 携行武器は両太腿の外側に内蔵型の収納ラックが1つずつ設けられているから2つまで選べる。何を選ぶかダイはもう決めていた。


 [ペインNo.3 ハードナイフ]


 歩兵機用の軍用ナイフで収納ラックに収まる程度の長さと丈夫な厚みのあるコンバットナイフだった。持久戦を想定した上でなるべく丈夫な奴を選んだ。一応言っとくとこのナイフ、高周波振動とかしないしプラズマとかも纏ったりしないただのナイフだからな。


 そのナイフを右側の収納ラックに、左側にはライフルの弾倉を更に入れておいた。徹底的に持久戦前提の装備だ。


「あとは……どうしようかな。こういうのゲームとかだったらバズーカとかキャノン砲とかだけど」


 ゲームに例えやがったぞ、こいつ。だがバズーカもキャノン砲もナンセンスだ。


 バズーカ、つまりロケットランチャーは基本単発、予備弾も嵩張るから持っていけないし使い捨ても持久戦を考えたら有り得ない。ロケットランチャーは無しだ。


 キャノン砲も似たり寄ったりの理由だが、それ以上に外れたの悲劇を思い出すから使いたくないってのが主な理由だ。


「せめて手榴弾とかは欲しいな。残ってないかな?」


 残ってないだろ、爆弾の類は全部隣りの倉庫だが頭無しに襲われたとき全部爆破しちまったじゃん。都合良く残っているのなんか無いって。


 それでも一縷の望みで隣りの倉庫に入ってみた。爆破の影響で散々とした倉庫は入口すら破壊して大穴に変わり果てていたが。


「……あ」


 そしてそこにはダイのお目当て、ではなくダイがお目当ての奴がいた。


 と言うか、頭無しがいた。パッと見て3機。鋭い爪を構えてらっしゃる。


 何故パッと見で3機とあやふやな表現かと言えば、頭無しと一緒に初めて見る歩兵機がいたからだ。


 一回り小さい頭無しと違ってこいつらはイングリッドとほぼ同じサイズ、腕がやけに筋骨隆々で頭が犬っぽい形状のかなり異形な歩兵機だった。


 特に脚が4本あるのが特徴的だった、股関節から2本ずつ生えた脚は前が正関節、後ろが逆関節で2本脚よりも動き易そうな4本脚だった。よし、四本脚と呼ぶことにする。


 そいつらは全部で4機、明らかに頭無しよりも危険な相手だって分かる。


 何故かって言えば、こいつら武器を手にしてやがんだ。


 右手にガトリングガン、まさかのガトリングガンだぜ。筋骨隆々の腕だから片手でも平然と持てるとかチートだろ。左腕には全身を覆い隠せる程の大型シールドも装備、防御もしっかりしてらっしゃる。見るからに頭無しとは違う、戦闘用の歩兵機だ。


 そんなのがどうしてここに……あぁ、倉庫の爆弾類を全部爆発させたせいで壁に穴が開いてらぁ。そこから入ってきたのね。


「ヤバっ!」


 逃げよう、そう思ったダイだが出入口には既に別の四本脚が3機、逃がすまいと言わんばかりに陣取ってやがった。


 これ、詰んでね?

ロケットランチャーやキャノン砲は没にだったが、他にも幾つか没になってたんだ。


・マシンガン没 連射も大事だがセミオートで単発の威力も重視したい。

・スナイパーライフル没 狙撃銃は支援火器だから支援する味方がいないと意味が無い。

・ショットガン没 一考の余地はあったが素人に癖の強い火器は良く無いと言う事で。

・グレネードランチャー没 持久戦を考えると弾数に難があった。

・ハンドガン没 携行武器で弾倉と迷ったが、持久戦を想定すると弾倉に軍配。

・ガトリングガン没 ここにあったのは銃架必須なものばかりだった……。

・ミサイルランチャー没 ロケランと同じ理由。と言うか爆破でミサイル系統は全て吹っ飛んだ。

・レールガン没 それ以前に実用化されてない。

・ビームライフル没 あるかぁ、そんなもん!

・波動砲没 これはあって欲しかった! でも無かったんだ……。

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