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聖女は偽りの幸福に身を委ねる

冒険的なチャレンジで、シリアスでダークなストーリーを書いてみました。

それでも少しでも面白いと思えると嬉しいです。

演出上少しきつめな表現がございすので、もし苦手だな、合わないなと思いましたら無理せずご遠慮くださいませ。


 英雄の里、そこは私達の故郷の村です。


 英雄の里は初代勇者に従った英雄達が興した村。以来、魔王が登場し、勇者が召喚され、その伴となる英雄は皆この村から生まれるようになりました。

 魔王とは数十年から数百年に一度現れる魔物の王。世界最強の魔物で他の魔物を発生させ、凶暴化させ、世界を破滅に導く存在です。

 その魔王が近々誕生するという予言があり、国は神託を受け英雄を選ぶことになりました。

 選ばれたのは全員私達の村の人間でした。

 

 今回選ばれたのはなんと私と幼なじみで親友同士の5人。


 癒しの魔法を使う“癒しの英雄”私ことマリアンヌ

 私の恋人でもある卓越した剣技の使い手の“剣の英雄”ナイル

 私の妹で大魔法を使う“賢者の英雄”ミレイ

 ナイルの義姉であり、ナイルと対を成す、私たちの中で最年長の“盾の英雄”メルンさん、

 私達で一番年下で弓の天才児、“弓の英雄”モモ。


 私達5人は名誉でいっぱいでした。勇者と一緒に悪しき魔王を倒す真の英雄になるんだと。本当に興奮と期待で胸がいっぱいでした。


 それが破滅の始まりだと知らずに


 私達は王宮に行き、そこで初めて勇者と出会いました。勇者はハンサムでしたが、どこか嫌な目つきと空気を纏う男でした。正直なことをいうと、私たちは幻滅してしまいました。勇者というものを神聖化しすぎていたようです。


 ですが、魔王を退治する旅を始めた頃からその印象は変わり始めます。

 私達は勇者に惚れ始めたのです。顔が、吐息が、声が、仕草が、香りが蕩けるほどの魅惑さを持って私達の心を揺るがしました。次第にみんなは勇者に寄り添い、笑い合い、蕩け、身体を預け、捧げるようになっていきました。

 私もその一人です。勇者に夜誘われた時は幸福感でいっぱいでした。ナイルという恋人がいるにもかかわらず私は躊躇うことなく頷き、初めてを捧げてしまいました。

 当然ナイルにばれて、詰問されました。だが、私はもうナイルに何も感じていませんでした。むしろうっとうしさすら感じました。


 ですので、私が勇者様と結婚するからと別れ話をした時も納得いかないナイルは何度もくいさがり、その度に私と勇者様の仲を邪魔する行為に憤りすら感じていました。


 その頃になると、私たち女性陣は勇者様から離れなくなります。何をしても一緒。全員で行為をすることにも忌避を覚えず、快楽に耽り続けました。ナイルが傍にいるにもかかわらず。


 真面目なナイルは英雄の職務を放棄せず、ただ死んだ目で剣を振るう反面、私たちはただ勇者様だけを見て、勇者だけに尽くしていました。


 魔王との戦いの際ナイルは大奮闘しました。ナイルがいなければ負けるのではというくらいの大奮闘。ですが、私たちは魔王に勝利した後、瀕死のナイルを無視し、勇者様に抱き着き、大騒ぎをし、眠り続けるナイルを連れて王宮に帰った際に恥知らずにも私たちは“嘘”の報告をでっち上げたのです。


 そして1か月以上眠ったナイルが目覚めた時、ナイルは「役立たずで、序盤であっさりリタイアして迷惑をかけた無能な英雄でした」という私達の嘘の報告により偽りのレッテルを張られて、国中から軽蔑と侮蔑の対象となっていました。


 そのことに気づき、荒んだ目で私達の元にやってきたナイル。そんな私たちは笑顔で勇者と結婚したことを伝え、あらゆる侮蔑の言葉を吐きました。

 激昂して飛びかかってきたナイルですが、病み上がりの状態で剣を持たないため、実力を発揮できず、逆に私達に集中攻撃を受け、倒れ伏しました。

 そのズタボロの状態で兵士に連れて行かれたナイルをゴミを見るような目で見つめ、次の瞬間には勇者に媚びながらまとわりついたのです。


 そして私たちは勇者の妻となり、英雄となり、国の要職についた勇者の妻ということで貴族の夫人という位が高い肩書を得て、勇者の子を産んだ母となったのです。



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