銀の狼3
――思った程の衝撃はこなかった。
吹き飛ばされたわけでもなく、自分はその場に立ったままだ。
ズキン!
視界が赤と白に点滅する。
今まで経験した事がない痛みに声も出ない。
私はその場に座り込んだ。
本来ならば痛みに対する軽減設定がされている。
しかし、この痛みはその設定限界を超えてるのでは?
感覚の曖昧な腕をなんとか動かしてポーションを取り出そうとする。
しかしその度に痛みが襲い、視界がチカチカと点滅する。
カランと赤ポーションが手から落ちる。
その場に寝そべり、口で蓋を開けて中身を飲み干す。
少しずつ痛みが和らいでくる。
普段は回復薬としてしか見る事が無かったが、痛み止めの効果もあったのかと感心する。
痛みの治まった腕を見てみるが、血まみれになっている。
おそらく腕を振った衝撃がかまいたちのような真空波を発生させたのだろう。
服の端で血をふき取る――赤ポーションのおかげか、出血は既に止まっていた。
こう見るとなかなかえげつない傷口だ。
設定次第ではここまでリアルになるのだと少し恐ろしい。
銀の狼は先程のやり取りをずっと見ていた。
その瞳は蔑むわけでも敵意でもない。
突然銀の狼が動いた。
ややふらついた動きでこちらに歩み寄ってくる。
再び攻撃されるのではと身構える。
狼は顔を腕に近づける、急に傷口を舐め始めた。
「くっ、くすぐったいよ。」
痛みは無いがくすぐったい。
彼?からしたらお詫びのつもりなのだろうか?
――血の匂いに釣られたとは思いたくない。




