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些細な異変3
ふと思い出したのは、この前の出来事だ。
現実とゲームが曖昧な状態。
ユキさんに見せてもらったアレだ。
”これはね、今開発中のシステムなのよ。”
確かそんな事を言っていたような気がする。
という事は、何かしらのバグでこのテスト空間に来てしまったという事だろうか?
このままここにいてもしょうがない。
とりあえず歩き出す事にする。
風景は現実そのままだ。
相違があるとすれば人がいない。
後は路上を走る車やバイクも見当たらない。
その辺は未制作なのだろうか?
そもそも、未実装フィールドなわけだが。
高く立ち並ぶコンクリートジャングルを歩く私は、かなり異質な存在だろうと思う。
日差しは出ているが、ビルに隠れてあまり暑さを感じない。
ゲーム内とは違うコンクリートを踏む感触は現実を彷彿させる。
そもそも、私なんでこんな事になってるんだろ?
そう考えて足を止める。
「まさか、一生このままじゃないよね?」
ふと、そんな言葉が口から零れた。
その時、一瞬遠くに人影が見えた。
私は咄嗟にその影を追った。




