初めてのID6
キングゴブリンは大きく棍棒を振り上げ、彼めがけて振り下ろす。
ガキン!
――金属音が響く。
卍エクスカイザー卍が左手に持っていた盾で防いだのだ。
「うぉぉ!」
必死に耐える姿に少し感動してしまう。
それも一瞬だけで、私はキングゴブリン目掛けて矢を放つ。
「”ブレイブショット”」
このスキルは通常攻撃の2倍の威力の矢を放つ。
勿論、スキルレベル1での威力だ。
いつもと違い、弓は赤色のオーラを纏っている。
これは弓に炎属性が付加されているためだ。
つまり、このスキルは魔法でなくとも属性攻撃を可能とする。
そして――
「”ゴブリンの弱点は炎、このIDではアーチャー、キャスターが火力を担うのよ。”」
期待通り、という感じの声音でユキさんが言う。
そうだ、後はファイターが壁をし、ヒーラーが回復する。
しかし今は二人だけのパーティ。
壁役の赤ポーションのストックと私のDPSが勝利のカギだ。
初手の”ブレイブショット”が相手の腹部に刺さる。
キングゴブリンは一瞬こちらを見るが、痛がりもせず、2撃、3撃目の攻撃を彼に向けて放つ。
その度に乾いた金属音が部屋中に響く。
「”ブレイブショット”」
CTが終わると同時に、再び”ブレイブショット”を放つ。
今度は明らかに敵意を向け、こちらに向き直す。
――まずい、恐らくターゲットがこちらに移動した。
キングゴブリンはその巨体を揺らしながらこちらに駆けてきた。
「くそっ!」
気づいた彼がこちらに駆けてくるが、恐らく間に合わない。
私は攻撃に備えて、両腕で身を守る態勢を取る。
――ゴツン!
強烈な衝撃が全身を襲った。




