三度のメシより!
それほど暑い夏の日ではなかった。
蝉の声は聞こえ無くなり、夏休みもとっくに終わってしまった。
受験勉強にのめり込んでいた日々が懐かしいとすら感じる高一の時期であった。
勇斗は精神的な疲れを少しでも紛らわすために、イヤホンで音楽を聴いていた。
よく洋楽のロックを聴いて英語の歌詞を勉強するという人がいるのだが、いつまでたっても成績は変わらない。
ノートを買って勉強したフリでもしようかと思い、コンビニに入った次の瞬間であった。
買いもしない商品をポッケにいれている女子を発見してしまったのだ。
「おっ!あれヤバイんじゃねぇか?」
実際、万引きの瞬間に出くわすと想像以上に動揺する事に気づく。
声を掛けるべきだと思ったが、あまりにも突然の出来事で掛ける言葉が見つからない。
逃げられてしまう
「あっ!あのぉ」
そう声を発しようとした瞬間だった。
「あなのやっている事は、もうバレちゃっているわよ」
女の子の声がした。店員ではない。
「あっ。すいませっ」
万引き女子は明らかに動揺している。
だが、次の瞬間、万引き女子に思いもよらぬ言葉が掛けられる。
「それを私に。私があなたの罪を、被ってあげるから」
勿論、二人はグルではない。全くの初対面である。
「おい!いいのかよ、それで!」
思わず、叫んでしまった。
「罪を被る」と発言したその女子がくるりとこちらを振り返る。
その顔に見覚えがあった。
なんと、中学の頃からのクラスメイトの女の子であった。
「ユイちゃん、じゃないか!」
「あっユウトくん。こんにちわ♪」
「こんにちわ♪じゃねぇよ!良いのかよやってもいない罪を被るなんて!」
「まあ、見てなって」
すると、店の入り口からGメンらしい人が出てきた。
「逃げて!」
ユイが言うと万引き女子は逃げ出した。
ユイは突然、息を切らしながら商品をGメンに差し出す。
「すいません!商品を取り返すのに必死で万引き犯を逃がしてしまいました!」
「なっ!なるほど」
「商品を取り返してくれたのか。何かありがとうございます」
Gメンは肝心した様子で店に戻っていった。
「ねっ?上手く行ったでしょう?」




