魔方陣完成 聖鍵合体対死霊合体 ー12ー
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「サイガが一体どうしたって……ここは……学園に戻ってるじゃないのよ。それに……何でこんなに人が集まってるし」
エリスとマキナ、シリアはラキアス学園の校庭に戻っていた。そこには生徒達だけでなく、親衛隊や警備隊、人間だけでなく魔族や機人達が集まっていた。
「体の重さもなくなって……サイガさんの姿がありませんよ。元の世界に戻ったのは私達だけって事ですか」
シリアは辺りを見渡すも、サイガの姿はなく、周囲は慌ただしく動いてるのは魔方陣が完成し、アンデッド達が街を襲っていて、学園は作戦本部となっているのだ。
それを物語るように、夜の街には魔法による爆発が至る場所に起き、その光が広範囲であると教えてくれる。
「私達も戦闘に参加しなけれ……ば……何ですか……あれは」
マキナは街の状況にすぐにでも駆け出しそうになるが、魔法の光によって、ある物を目にしてしまった。それは三十メートルの高さがあり、今も巨大化が進行しているようにも見える。
「エリス! よく無事に戻ってきた。アイシャは上手くやってくれたようだな」
店長はエリス達を見つけ、駆け寄ってきた。
「店長?何でこんなところにいるのよ……って、それはいいとして、あれは何なの?あそこに魔法が多く放たれてるようだけど、びくともしてないような……」
「あれはアンデッド達の集合体だ。魔方陣が完成した事でアンデッド達が出現したのだが、皆が協力した事で優勢に展開していた。だが、一人の魔族が現れた事で一変しようとしている。その魔族にアンデッドは組み込まれていき、巨大化している。魔法などをしても合体を阻止出来ないように、協力な力が張られているようなのだ。合体を邪魔出来ないのは定番だな」
現れた魔族というのは死霊の事だろう。劣勢となった事で、死霊は自らの体に取り込む事で巨大化し、一気に蹴散らそうとしているのだろう。
「合体を阻止する事が出来ないなんて……アイシャの魔法なら!一体どこに行ったのですか?」
アイシャは他国の脅威となる力を持つ魔族であり、魔王を相手に出来る力を持つ事は、キースの屋敷でマキナは目にしていた。
「アイシャはエリス達をこの場に来させるために、居場所を交換した。今はサイガと共にいる」
「それって……サイガさんはあの場所に残って、二人で残虐と戦う事になったって事ですか!魔族で負荷がかからないといっても、無茶ですよ」
元の世界に戻れるのなら、何故サイガも一緒ではないかと不満をぶつけた。あの場所ではサイガが魔族であろうとも、残虐が有利な場所であるのはシリアにも分かる。
「あの二人なら大丈夫だ。この選択の方が勝率が高い。エリスも呼ばれた理由が分かっているはずだ」
店長はアイシャの力を知っているだけでなく、あの巨大なアンデッドに対して、アイシャよりもエリスの方が有効であると考えたのだ。
「えっ~!あれを使うの……全然貯まってないじゃない。また最初からになるんだし、頼むんだったら給料上げてもらうからね。それとこんな場所でやるんだから、特別手当ても貰うから」
エリスは店長が何をしようとしているか理解していた。それはエリスに関連しており、長い時間を掛けて何かをしていたのだ。
「一体何をしようというんですか?この状況を打破するというなら」
「二人にも力を貸してもらうから。かなりの魔力を消費するから覚悟してもらうわよ。それと……まぁ……大丈夫でしょ」
「この鍵を天にかざし、メモに書かれた文章を熱く叫ぶ。順番とかも書いてるから、その通りでお願いする」
店長はマキナとシリアにメモと小さな鍵を渡した後、音楽を流し始める。そのせいで、何事かと周囲はエリス達に注目し出した。




