魔方陣完成 聖鍵合体対死霊合体 ー10ー
「その声……貴様はあの時の女か!貴様は知っていながらも、魔族の裏切り者である、サイガに加担するとは……万死に値するぞ!」
アイシャの姿が子供の姿だったせいで、ガイエルは誰なのか分からず、声によってキースの屋敷にあった魔族だと確信した。それだけでなく、昔の出来事を知りながらも、キースを助ける事がガイエルにとっては許せなかった。
「説教はあとにして……死霊はどうした?倒したという事は」
「それはない。アレを相手にするのは骨が折れる。あっちはエリスとアンドに任せる事にした。倒しておれば、この世界も崩れさっておるからな」
アイシャは死霊を倒させるために、エリス達と場所を入れ替えたという理由もあった。エリスだけでなく、店長も一緒だという事で任せてもいいと思っているのだ。
「どちらにいても一緒だ。魔法を使えない勇者が、死霊に勝てるわけないだろ。貴様等もここで死ぬんだからな。あの時とは違い、この世界では俺様は無敵だ」
サイガとアイシャの周囲にガイエルの体にある穴と同じ物が出現し、貯蔵された無数の槍が同時に突き刺そうとする。
「お前の戦闘スタイルは覚えてる。こっちは二人がかりで……おい!本当に手伝わないつもりかよ」
サイガは槍が出るよりも先に、無数の穴の一方にに火の魔法を放つ。その場から逃げるだけでなく、ガイエルの体に繋がっている事から、直接内部に攻撃する事が出来る。詠唱の短い魔法でもガイエルの体に爆発が起きた。
アイシャはというと、蝙蝠二羽を自身の巨大な羽とし、上空へと退避した。その一羽をサイガに付けてやる事をせず、ガイエルに攻撃する事もなかった。
「こちらも何度も同じ手が俺様に通じるはずがないだろ!」
ガイエルの体の穴から煙が吹き出すも、ダメージを受けた様子がないどころか、放ったのと同じ魔法が、サイガの背中を襲った。




