魔方陣完成 聖鍵合体対死霊合体 ー8ー
「二人して何ほざっとしてるのよ。シリアのも良い格好しようと思わないの!まずは私とサイガで突っ込むのよ!」
サイガやマキナ、シリアも少し抜けているところがあり、エリスに指摘された。シリアの考えは間違っていない。サイガとマキナの魔力温存は必要な事だろう。だが、サイガやエリス、マキナとは違い、シリアは前衛に出るタイプではない。魔法を詠唱するために後衛にいるべきなのだ。
サイガはエリスの頭脳には期待してない部分が少しあったのだが、それは間違いだった。勉学では駄目だとしても、戦闘に関しては違う。それによって全員が足りない部分を補う形が出来ていた。
「それでシリアは風魔法で、攻撃魔法じゃなくていい。それと魔力を消費させるけど、マキナは回復魔法をお願い。シリアの風にマキナの回復を乗せて放つ合体魔法にするのよ」
エリスはマキナとシリアに指示し、またしてもスケルトンの持つ剣を奪い取り、相手を粉砕していく。それを見習って、サイガも剣を奪い取る。
「戦闘に関しては頭の回転は全然違うだな。はっきり言って、見直した」
「いきなり、何言い出すのよ。少し考えたら分かる事じゃない。相手がアンデッドだから出来る事なんだから」
エリスの考えている事を理解したのか、マキナとシリアは指示通りに魔法の詠唱を始める。アンデッドには火や光魔法が効果的であるのだが、もう一つある。それが回復魔法なのだ。
回復魔法であれば、詠唱の邪魔をさせないように前衛に出ているサイガやエリスを巻き込んでも問題はなく、アンデッドを倒しながらも、体力を回復させると一石二鳥となる。
そして、その風は消える事なく前へと進み、前方からアンデッドを生み出せないようにし、時計塔までの道を作り出した。
「これで魔方陣が完成するまでに間に合えばいいのですが……あれは!」
時計塔に近付くにつれ、別の何かが見えてくる。それは聖骸布に巻かれたキースの体が宙に浮き、全く動く素振りをみせない。それもそのはずであり、単に宙に浮いてるわけではなく、禍々しい多くの魂が、キースの体を奪い取ろうとしているのか、覆い尽そうとしており、浮いているように見えるだけだった。その多くの魂も時計塔の高さを越えようとしている。
それは驚くべき事なのだが、マキナにとってはガイエルの姿ではなく、キースの姿に戻っている事だった。聖骸布は呪いの進行を抑えるとしても、元に戻すという事はない。
「あれってキース先輩?生け贄にするために残虐は、キース先輩の体を棄てたのかもしれませんよ。それなら助け出す事も」
「……違う。何ですぐに気付かなかったんだ。違う魔方陣が発動していたんだよ。ここは裏側の世界というべきか、結界に入れられたんだ。あれはキースの体じゃなく、魂の姿だ。表側、現実の世界は魔方陣が発動しているはずだ」
聖骸布がキースの魂に巻かれているのは魔方陣発動の柱として、少しでも崩れないようにし、魔方陣の継続時間を長くするため。
サイガが裏側の世界に気付いたのは人の気配がないのと、時計塔の針が逆方向に進んでいたからだ。それだけでなく、魔方陣の完手順も逆だったのだ。時計塔から四つの場所へと赤い光が広がり、それが達成した時に完成となるはずだったのだ。




