魔方陣完成 聖鍵合体対死霊合体 ー6ー
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サイガ達が外に出ると夕方に比べると、夜の街はさらに静まり返り、人々が歩き回る事がなかった。それも店の明かりが消え、街灯や自販機の光だけでは怖く、月の光も怪しく思えてしまうかもしれない。
「なるほど……街が恐怖で満ちてようとしてるのが肌で感じ取れるな。家の光も淡くなっているし」
サイガはこの状況に昔を思い出し、これが普通だと感じた。暴走化の時は住民達の行動が異常だと思っていたからだ。
「夜は闇属性の力が増すとされてますからね。死者が蘇る状況では滅多に外に出ないですよ。いるとすれば兵隊や警備隊、私達と私みたいな研究者馬鹿ですかね」
こんな事態になっているのにも関わらず、学園で研究などをしている生徒は確かにいた。それだけでなく、死体を捕まれて調べようとしている人間もいるらしいとシリアは言うのだ。
シリアは外に出る事で、魔法強化のために杖と魔導書が入ったカバンを持ってきていた。カバンにはそれだけでなく、魔力を回復させる薬も入っている。
マキナはレイピアでなく、剣を所持し、マンゴーシュでなく杖を持ってきている。死体は突くよりも斬る事が効果的だと判断したのだろう。
マキナやシリアと違い、サイガとエリスは何も持ってきていなかった。武器を持っていないというのもあるが、サイガに関しては杖や魔導書は灰と化してしまうからだ。
「家の中に私用の武器がないなんて……隊と会った時にでも借りましょう」
「タダなら借りてもいいんだけど……何か変な感じがしない?肌寒いというか……」
歩き回っているはずなのだが、どこの部隊とも出会っていない。それだけでなく、僅かながらに地面が揺れ、エリスの腕に鳥肌がたっていた。
それは魔力を察知する前に、エリスは危険を感じ取ったのだ。
時計塔に設置されている鐘が鳴り響く。零時を示しているわけでなく、魔力で反響しているのだ。そして、その音に呼応するかのように地面に無数の文字が浮かび上がり、時計塔に向かっていく。
「ちょっと!これって、魔方陣が完成しようとしてるんじゃないの。墓地には結界が張られてるんじゃないの」
「結界が壊されたのなら何か連絡があるはずです。墓地には魔方陣を完成させるための文字が描かれた場所も発見されてなかった……」
魔方陣を完成させるための生け贄を捧げられた場所から赤い光が立ち上ぼり始め、一つに集まろうと時計塔に向かっている。その光は墓地だけ大きさが違っている。
「ちっ!すでに墓地に文字は描かれていたんだろ。会長候補の一人はそこで殺されていた。墓地というのが項をそうしたのか、他に魂にも連動してしまったのか、地面に巨大な文字となって気付かなかったんだ」
「そうなると、この鐘が鳴り終わる時に魔方陣が完成するってわけ。それまでに残虐を倒さないといけないわけね」
時計塔に呪物が設置されているのであれば、それはキースの魂であり、キースの体にはガイエルが宿っているのだ。




