魔方陣完成 聖鍵合体対死霊合体 ー1ー
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四月十五日 光
「サイガ……目を覚ましたようだな」
「アイシャ……ここは」
アイシャの姿は子供バージョンであり、サイガの前で魔導書を開いており、今まで詠唱していたのだろう。
「学園にある、わしの部屋じゃよ。お前の体は特殊じゃ。現段階の体では人間に近いせいで、呪縛が浸透してしまっていたからな。わしの魔力を体に流させてもらったぞ」
サイガが目を覚ましたのはアイシャの研究室。ガイエルの魔法を相殺出来ず、ダメージだけでなく呪いが体を蝕んでしまったのだ。それを消すためにアイシャは回復魔法ではなく、サイガの体に魔力を流し込んだ。それは解呪の魔法ではない。
「そうか……だから、あんな夢を。それよりも、一体どれだけ時間が経った?残虐と死霊は」
「お前が眠っていたのは一週間。残虐と死霊はキースの屋敷から消えた後、そのまま息を潜めておるな。その代わりに死体達が動き回り、仲間を増やそうとしておった。マキナの指示で、墓場に結界を張らしておっからな」
残虐と死霊が姿を消したのは魔方陣を完成させるため。死体が動き回ったのは商店街など人だかりが多い場所であったらしく、死体が多く眠る場所と共に、魔方陣を完成させるために必要な墓場には結界が張られているらしく、それを破壊するためかもしれない。
しかし、死体ではなく残虐と死霊が結界は簡単に壊せるはずだが、それをしないのは力を取り戻すためか、力を使わないようにするためか。
「後はマキナ達に話を聞け。わしはお前の治療で疲れたから、眠らせてもらうぞ。呪縛のおかげでもあるのか、魔力量が増えたのはお前自身も分かっているな。それで何とかしろ」
アイシャは欠伸をしながら、部屋に棺を出現させ、その中に入ろうとした。
サイガの体にはアイシャの言う通り、前によりも魔力が増しているのを感じ取れる。それが死の淵に立ったからなのか、それともアイシャの魔力がサイガの体に反応したのかもしれない。
「おっと……忘れておった。エリスがお前の目覚めを待っておったぞ。早く連絡してやれ」
「はぁ!何でエリスが……」
マキナがサイガを目を覚ますのを待っているのは、庇った事もあって分かるのだが、エリスがサイガを目覚めるのを待っている理由が分からなかった。




