残虐の策略 魔王倒されるー9ー
「攻撃魔法でもいい。刃が作り終える前に……くそっ!飲み込まれたか」
マキナは足を捕られただけでなく、上空に断頭台の刃が具現化された事での威圧に、恐怖を植え付けられ詠唱を途中で止めてしまった。
断頭台の刃は威力もさる事ながら、相手を恐怖に捕ら、防ぐ手段を考えさせない。
「まずは一人……キーナの末裔を始末……それはマキナ様に……だろ。私の中に誰かいるのか……発動を止めなければ」
キースとガイエルの意識が混濁し出した。ガイエルの『キーナの末裔』という言葉にキースが反応した。
「王女のピンチに意識を正常に戻そうというのか?それも手遅れだかな。わざわざマキナの離れた頭を見るためだけに……無理だと分かり、意識を閉ざしたか」
キースの抵抗も虚しく、刃をマキナへ向けて落とされた。それをしたのが自分だと認めなくないのか、心の奥に意識を閉ざした。その結果、キースの体は右目と右耳以外はガイエルの体と変化してしまった。
「その判断も間違いなのだがな……またもや自らを犠牲にして人間を守るとはな。お前が動けなくなれば、状況は悪くなるのは分かっているのにな。それも聞こえていないか」
「サイガ!」
マキナは倒れたサイガに近寄り、回復魔法を唱え始めた。
サイガはマキナを突き飛ばし、断頭台の刃が落ちる場所と入れ替わった。だが、サイガは防御魔法や補助魔法は使えず、攻撃魔法同士の衝突となった。その結果、首を切られずに済んだものの、衝撃によって意識を失ったのだった。
「無駄な事を……復活出来ないようにキーナの末裔共々消滅しろ」
ガイエルは力を取り戻しているのか、詠唱は数文字程度ながらも上位の魔法を発動させ、サイガとマキナを中心に炎の渦が出来たかと思うと、一ヶ所に集まろうと狭まっていく。その炎は赤色から、威力が上がっていくのか青色に変色していく。
だが、それはサイガとマキナに届かず、青炎は紫の氷へとなり、粉々に散っていく。
「私の手を煩わせるとは……後でお仕置きが必要だな。死霊の相棒という言葉が気になってはいたが……やはり、貴様だったか。ガイエル」
サイガとマキナを助けたのはアイシャだった。パートナーとは関係なく、サイガの影に移動してきたのだ。
「誰だ?俺の名前を知っているようだが……それに俺が放った以上の威力で、炎を凍らせたのか」
アイシャはサイガ以外の魔王には、存在を知られていなかったのだ。




