残虐の策略 魔王倒されるー4ー
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ミクス城から少し離れた場所にある、閑静な住宅街の一画。この場所は王族に連なる者や貴族、金持ちが家を構える場所とされており、そこは庶民が簡単に入れないように門が作られ、一線を引いている。中に入るためには監視カメラでの確認や、決められた番号を押す事によって訪ねる住宅に繋がる事で門を開けてもらうという方法がある。そのために門番は存在していない。
「これは……急ぎましょう。これがキースが私達の敵ではないという証拠になるかもしれません」
サイガとマキナが着いた時には、門が破壊されていた。魔族の暴走化とも考えられるが、門付近にある家には何も変化はなく、目的のある行動に思えるからだ。
「これを壊したのは、キースを襲った奴等の犯行と思ってるのか?」
確かにそうだとすればキースが死霊のパートナーであるという事は薄くなるかもしれない。サイガやシリアに襲われたのを見せたのは演技だという可能性はあったが、門を破壊してまで侵入するのであれば、本当にキースを狙っているのだろう。
「マキナ様!丁度良かった。賊がキースの家に侵入したみたいで、戦闘が行われてるようなんです。私達にはどうしようもなくて……」
住民の一人がキースの屋敷に賊が入るのを見ており、その後に戦闘が行われている音が鳴り響いてきたらしい。すぐにでも警備隊に連絡しようとしたらしいのだが、妨害する電波か何かが電話などを出来ないようにしていたのだ。
「当たりですね。そのメンバーを捕まえれば、死霊との繋がりも見えてくるかもしれません」
「……そうだといいけどな」
戦闘が起きているのであれば、キースが家にいるのは間違いないだろう。最初にキースが襲われた時、サイガとシリアには攻撃を仕掛けなかった。住宅街に被害もなく、無闇に攻撃を仕掛けるとは思えない。
賊を捕まえるのに問題があるとすれば、キースの方だろう。次に会った時には捕まえるというよりも先に、殺すという言葉が出てきていた。それが本音であれば、確実に殺しにかかるだろう。
「大丈夫です。私とサイガがキースに協力すれば、賊などに負けるわけがありません」
マキナはキースがそのような事を口にしていた事を知らない。戦力差で勝てるのかをサイガが心配していると勘違いしているのだ。
だが、キースの屋敷に入る事で、マキナは信じられない光景を目にするのだった。




